室内建具の基礎知識
住まいを印象づけるものは、何も外壁や屋根など外観だけではありません。
室内の内装も住まいのイメージを左右するもので、壁や天井、床など面積の広いものはもちろんですが、室内建具もその空間をイメージづける大切なアイテムです。
そこで、室内建具の種類や特徴について調べていきましょう。
室内建具の種類
室内空間をイメージづける室内建具には、どのような種類があるのでしょう。
ところで、室内建具の種類ですが、建具の開閉方法によって分類され3通りあります。
開き戸
まず、一般的な洋室などで最も多く用いられているのが開き戸です。
開き戸には、1枚を開閉する片開きドア、2枚の扉を開閉する両開きドア、大小の2枚の扉を持つ親子ドアがあります。
引き戸
次に引き戸ですが、住宅の居室の建具といえば、開き戸が主流ですが、最近では、引き戸を用いる住宅も増えてきています。
引き戸のイメージといえば、和風の雰囲気がありダサイとか、おしゃれなデザインが少なかったですが、最近では、引き戸が見直されてきていますので、メーカーからもさまざまな商品が提案されています。
折れ戸
三つ目として、折れ戸があります。
蝶番などで連結させた扉を折りたたんで開閉するタイプで、廊下などの収納扉や浴室・トイレといった狭い空間に用いられています。
引き戸の種類
引き戸とは、横にスライドさせて開閉させる建具で、スライドドアやスライディングドアなどと呼ばれています。
日本家屋などに見られる、障子や襖なども身近なスライドドアの扉と言えます。
引き戸の特徴として、狭小住宅などでは、限られた空間となり、開き戸(ドア)の開閉スペースを取ることができない空間や間仕切り扉として設けられています。
近年、引き戸のメリットが見直されてきましたので、各メーカーからバリエーション豊かな商品が提供されるようになり、他の室内建具や建材商品などとシリーズ化されている場合が多くありますので、空間の用途に合わせて選ぶことが可能になってきています。
引き戸の種類は、扉を左右どちらかに引く片引き戸、壁に戸を収納することができる引き込み戸、2枚の扉を左右に開く引き違い戸、両方に引く引き分け戸などがあります。
また、片引き戸には、扉が1枚のものだけでなく、2枚や3枚の扉が連動して開閉するタイプや、手を離すと静かに閉まるタイプ、電動で動くタイプなどもあります。
さらに、上吊りタイプの引き戸(吊り式扉)があり、上部のレールのみで動きますので、床にレールを必要としませんので、下レールにゴミが溜まるといったこともなく、開閉の音も静かです。
引き戸の特徴
引き戸のメリットとして、土地の価格が以前に比べ下がったというものの、都心や都心部に近い郊外などではまだまだ価格が高く、どうしても広い面積の敷地を確保することが困難で、狭小住宅となってしまいます。
そこで限られた空間で、開き戸(ドア)の開閉スペースを確保することが難しい場合に、引き戸が設けられています。
つまり、室内で引き戸を用いるメリットは、狭小住宅でも開口部を広くとれるということで、車椅子の方など体に不自由な方の介護がしやすいということです。
また、トイレや洗面室・浴室など介護が必要な空間には、引き戸が効果的で、掃除がしやすく、ドアノブなどに袖口などを引っ掻けるということもなくなります。
上吊りタイプの引き戸は、部屋を間切る場合に使うことができます。
たとえば、お子様が年頃になり、それぞれ独立した部屋が必要になった時、このタイプを使えば、大掛かりな工事をする必要がなく、お子様が独立し、家を巣立った後も、もとの空間に戻す場合も簡単に戻すことができます。
開き戸と引き戸の比較
開き戸の場合、開閉スペースが、出入り口扉や収納扉などは、開き戸が一般的となっています。
しかし、廊下側に面している場所や、階段近くなどに外開きのドアを設置した場合、急に開けることで、ドアの向こうに人がいた時、ぶつかってしまい危険な状況になることもありますので注意が必要となります。
また、夏場や室内の空気を循環したい時など、開けっ放しておきたいものですが、開き戸の場合、どうしてもストッパーが必要になりますし、扉が邪魔になるあるいは、ストッパーが自然に外れ閉まってしまうということもあります。
しかし、引き戸の場合、開けっ放しておいても邪魔になるということがなく、風の通り道を確保できますし、それと同時に開放感も生み出すことができます。
また、ドアストッパーも必要ありませんし、風などで自然に扉が閉まってしまうということがありませんので、安全面でも安心できます。
室内建具の素材とデザイン
一般的に室内建具で使われている素材には、無垢材や突板などの天然素材、ポリや塩ビ・メラミン板などの樹脂素材、錆やキズに強いアルミ以外の素材の場合、芯材に合板あるいはMDF(中質繊維板)が使用されているのが一般的です。
天然素材の無垢材と突板ですが、無垢材は天然木のことで主流は集成材や積層材が用いられ、ウォールナットやマホガニーなどが主流ですが、中には桧・杉・欅といった高級素材もあります。
突き板とは、天然木を薄くそいだ板(単板)のことで、合板やMDFなどの基材に接着し、クリアーあるいは着色塗装したもので、芯材に両面貼り合わせたフラッシュ構造が主となっています。
ちなみに無垢材の場合は、深みのある素材感や風合いが魅力的で、長く使っているうちに深みのある味わいが楽しみという方が多く、無塗装のモノもあります。
アルミ材は、シャープでシンプルなアルミフレームが主で、採光パネルとくみあわせたのもあります。
デザインの傾向としては、シンプルでモダンなタイプが主流で、スリットや小さな角や丸の採光部を設けたものや、光を透過する素材を用いたもの、天井までの高さがあるタイプもあり、室内空間を明るく広々と感じられるモノが多く、全体的にスッキリとしたデザインに人気があります。
まとめ
室内建具を考える場合に大切なことは、部屋の用途に合った建具を用いることで、狭い空間には引き戸を採用することをお勧めします。
また、開き戸と引き戸それぞれの特徴をよく把握することも重要です。
そのため、扉をプランニングする場合、間取りと大きく関わってきますので、早い段階で工務店あるいはリフォーム会社の担当と相談することが大切で、色やデザイン・素材など建具単体で考えるのではなく、部屋の空間全体で検討することが重要です。