窓・ガラスの種類と機能
公共の施設はもちろんですが、一般的な戸建て住宅にも最近いろいろな形状の窓が使われています。
窓は、建物全体の表面積の2割~3割の面積を占めていますので、外観のデザインはもちろんですが、断熱性や遮音性といった性能面においても重要となってきます。
そこで今回は、窓やガラスの種類や性能について調べていきましょう。
窓の種類と性能
・引き違い窓
引き違い窓は、日本では最も一般的な形の横引き窓です。
取り付ける場所によって、掃き出し窓や腰高窓とも呼ばれていますが、見ても分かるように、ガラス面積が大きくまた開閉面積も大きいですので、隙間が生じ易いでしたが、改良などが進み断熱性能が向上してきました。
しかし、防犯面において少し弱いですので、補助錠等を設けることが望ましいと言えます。
・はめ殺し窓
はめ殺し窓は開閉のできない、採光のために使われる窓で、FIX(フィックス)とも呼ばれており、窓の形も角型や丸形・縦長型・横長型などデザイン性を重視されており、吹き抜けなどの上部に取り付けられることが多くあります。
またこの窓は、開閉出来ませんので、掃除が困難でとくに天窓に使用された場合は業者に依頼するなどの対処が必要です。
・外開き窓
外開き窓は、左右どちらかを軸にして一方に開く窓で、通風や採光に最適な窓ですし、気密性にも優れていますし、横幅が狭い場所に適しています。この窓には片開きと両開きがあります。
洋風な雰囲気にしたい場合は、両開きタイプを選ぶことによりイメージが洋風に変えることができます。
・内倒し窓
内倒し窓とは、室内側に向けて倒れるようにして開く窓で、キッチンのように天板の奥行きによって窓に手が届きにくい場所に適しています。
また、内側に倒れますので、窓の際にモノを置いていても外側に落下することがありませんので、落下防止に優れていると言えます。
この窓と同じような形で、外側に開くタイプがあり、これを外倒し窓と呼ばれており、排煙窓として使われています。
・滑り出し窓
内倒し窓や外倒し窓は、窓枠の上部側が開くのに対し、滑り出し窓は、窓枠の下部側が外に向かって開く窓です。
この窓は、気密性に優れておりますので、断熱性能を高めた木製サッシなどに多く使われています。
・折りたたみ窓
折りたたみ窓とは、ウッドデッキに面したリビングのように、窓を全開にしたい時に使う窓で、全開口サッシとも呼ばれています。
両脇にたためるタイプを両折れタイプといい、窓全体が大きく開きますので、インナーバルコニーを設ける場合に使われていますが、網戸が取り付けにくいというデメリットがあります。
・上げ下げ窓
上げ下げ窓は、欧米では最も一般的に使われており、上下2枚の障子のうち片方(下側)だけが動くタイプを片上げ下げ窓(シングルハング)、両方動くタイプを両上げ下げ窓(ダブルハング)、上下の枠が同時に動くタイプをバランス上下窓といい、3タイプに大きく分けることができます。
この窓は、気密性能が高く、寒冷地に適した窓と言えます。
・回転窓
回転窓には、縦軸回転窓と横軸回転窓とがあります。
気密性や水密性に優れており、清掃がしやすいという利点を持っていますが、その反面、カーテンや網戸の取り付けが困難で、一般住宅では用いることはありません。
・ルーバー窓
ルーバー窓は、ガラリ窓やシャロジー窓とも呼ばれており、ハンドルを回すことでガラスの羽の角度を変えて開け閉めする窓で、通風性に優れているのですが、防犯性に弱点がありますので、最近ではあまり採用されなくなりました。
ガラスの種類と特徴
窓は、サッシと呼ばれる窓枠の部分とガラスで構成されています。
ガラスは、性能面・デザイン面でみても窓枠の素材や色以上に重要な要素となりますので、住まいづくりではガラスの適切な選択が重要となってきますので、ガラスの種類と特徴を見ていきます。
・透明板ガラス
フロート板ガラスとも言われている基本的なガラスで、フロートとは、ガラス製法の一つで平坦で歪みの無いガラスを作るのに欠かせない技法です。
・スリ板ガラス
フロートガラスの片面に摺り加工を施した半透明のガラスで、視線を遮り光を取り入れますので、プライバシーを重視したいところに使います。
・型板ガラス
ガラスの片面に型模様をつけ、光を透視し視線を遮るガラスで、日射透過率・可視光線透過率といった光学的性能が透明板ガラスと変わりませんので、北側の窓に多用されています。
・網入れガラス
金属製網を封入した板ガラスのことで、乙種防火戸に使用されています。防犯に効果があると思われていますが、割れたときにガラスが落ちにくく、割れた時の音も静かですので空き巣に狙われやすいとも言われています。
・強化ガラス
強化ガラスとは、板ガラスを約700℃まで加熱後、急激に冷やすことで生成されるガラス板で、一般的な普通板ガラスと比べ3倍~5倍の強度を持っています。
ただし、工場出荷後の加工が出来ませんので、採寸などを慎重にする必要がありますので注意が必要です。
・耐熱ガラス
耐熱ガラスは、コップや調理器具などにも使われるほど、温度変化に強いガラスで、住宅用の窓ガラスではなく、アイランドキッチンなどのコンロとの間仕切りに使われることが多くあります。
・Low-Eガラス
性能が向上し住まいの省エネ性能に欠かせないのがLow-Eガラスです。ガラス表面に特殊なコーティングを施し、遮熱・断熱に優れているガラスで、複層ガラスとして使われています。
まとめ
窓本体及びガラスにはさまざまな種類や機能がありますので、それぞれの形状や機能をよく理解して、どの部屋や空間にどのようなモノを使えばよいのかを検討することが大切です。
プランニングする場合は、工務店やリフォーム会社の担当者とよく相談することがポイントです。