呼吸する家とは

鉄筋コンクリート造の家屋でない限り、一般の木造家屋は呼吸しています。

 

皆さんも経験があると思いますが、夜中にバシッとかバキッという音が鳴る現象で、突然夜中に鳴りますので、驚く方も多いと思います。

なぜこのような音が鳴るのか、家が呼吸するとはどのような状態をいうのかを、調べていきましょう。

夜中に音が鳴るのは何故

戸建の木造住宅に住んでいる方は経験があると思いますが、突然、夜中に家がきしむようなバシッとかバキッという音がすることがあり、特に新築の木造住宅では回数も多くなります。

 

多くの方は、夜中に突然このような音が鳴れば驚くと思いますが、この音の正体は、木材の乾燥収縮で、柱や梁などの接合部に応力が集中することで生じるきしみです。

 

木材ですが、伐採時期は10月~12月頃で、伐採したのち、1月~2月の寒中に天日干しをしてある程度乾燥させて製材しますが、製材されてもなお生きています。

つまり、呼吸をしているのです。

このため建物が完成しても2年間くらいは、季節の変わり目などの温度差により生じる乾燥収縮の暴れにより生じる音で、夜に音が気になるのは周りの環境が静かになるためです。

 

しかし、年月を重ねるごとに音の回数が減り、音自体もだんだん小さくなります。

 

住まいの強度は材木で決まる

住まいをリフォームする場合や建て替えをする場合に使用する柱材ですが、木材が無欠陥の杉でしたら一寸五分角(約45㎜角)で十分に耐える強度の柱として使用できます。

しかし、木には節や割れ・反りといったものがありますので、無欠陥の木材より強度が劣りますし、無欠陥の木材は、高額ですので殆どの場合、節や割れ・反りがありますので、安全性を考えると3寸五分角(約105㎜角)以上なければ柱として使うことができません。

 

ちなみに耐久性面を見てみると、三寸三分角(約100㎜角)の柱と四寸角(約120㎜角)とを比べて見ると、三寸三分角で約20年、四寸角の場合は約60年と3倍もの違いがあります。

この差は、材木が含んでいる空気の量によって違いますし、木材の種類によっても違ってきます。

 

このように、柱の太さや木材の種類により、建物の寿命を左右する大切な要素の一つなのです。

 

耐久性に優れている桧材

木材の真比重は、たいてい約1.56です。

模型や工作などに使うバルサ材や机・天板などに使われる紫壇も、みな同じなのですが桧は耐久性が非常に優れており、家屋に適していると言えます。

 

桧の優れている点として、桧は杉などに比べて年輪が3倍近くも緻密で隙間が少なくないので、変形も小さいという特性を持っています。

そのため、神社や寺といった建造物に桧が使われ、築1,000年経過した建物の強度の低下率は約4パーセントなのです。

また樹齢100年の桧を使って建物を建設した場合、建物は100年以上持ちます。

 

木は自分の育った環境を覚えている

木は自分の育った環境を覚えているものです。

例えば、山の南斜面に育った木は、そのまま南に向けて建物に使うと変形しにくいのです。

また、逆さまに木材を使うと(この使い方を逆木とよびます)、本来の寿命の半分程度に落ちてしまうのです。

 

木材にはアテと言われる部分があります。

アテとは、斜面に生えている木が根元から曲がって伸びている部分のことで、この部分は強度的にも負担が大きくかかっており、また年輪も独特の意匠性を持っています。

 

この意匠性ですが、衝立や民芸品・工芸品などの観賞用には味があって良いんですが、建物に使うと時間の経過とともに、曲がったり反ったりしてしまいますので、建物の寿命を縮める恐れがあります。

よって、工務店やリフォーム会社などは使用することはありません。

 

 

少し余談になりますが、よく『アテにならない』とか言いますが、この語源もここからきているものです。

 

木は、自分が成長してきた環境を覚えています。

この自然の記憶を上手く利用すれば、建物の寿命も延びます。

つまり、木は生きており、絶えず呼吸しているのです。

 

住まいが呼吸するとは

木は生きてますので、絶えず呼吸し水分を出したり吸ったりしています。

 

これと同様に、漆喰や土壁にも呼吸する性質があります。

たとえば、冬の乾燥期には水分を放ち、梅雨時や夏場など湿気の多い季節には、室内の余分な水分を吸い込むなど、自己調湿機能を持っているのです。

 

しかし、現在の住まいでは、人工的につくられた建材が多く使われていますので、住まい自体が昔のように呼吸することが少なくなりました。

したがって、機械(エアコン・除湿・加湿器)を使って、手助けをしてあげなくてはなりません。

 

まとめ

住まいに使われている木材や漆喰など自然素材は、湿気などの水分を吸ったり吐いたり、自己調湿機能によって程よい環境に保っています。

 

また、木材は自分の育った環境を覚えており、育った環境と同じ使い方をすることで、木本来が持っている寿命を延ばすことができますし、逆に使い方を間違えれば寿命を縮めることになります。

このように住まいは、呼吸し生きているのですが、現在のすまいは、建材が多く使われていますので、昔のように呼吸しませんが、それでも住まいは生きています。

住まいの寿命を延ばすのも縮めるのも住む人ですので、住まいの寿命を延ばす工夫をして下さい。

 

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