住まいづくりも合理的に
住まいを新たに建てる、あるいは建て替える際、何を基準に考えますか。
通常は、住宅展示場やハウスメーカーのモデルハウスを見て、このような感じの住まいを建てようと思う方が多いのではないかと思います。
しかし、モデルハウスは見せるものですので、工期もコストもかかっています。
そこで、工期もコストもかけずに、合理的に建てるには、どうすればよいのか考えていきましょう。
モデルハウスを見学する際のチェックポイント
大手のハウスメーカーは通常、住宅展示場などにモデルハウスを設置、展示されています。
しかし、通常の買い物の場合でしたら、商品と全く同じものを試食や試飲、試着、試乗することができますが、住まいの場合は、いくらモデルハウスといっても、敷地や環境、コスト面において全く同じものとはいきません。
そこで、モデルハウスを訪れる際には、事前に見学ポイントをまとめて、チェックシートを作るようにします。
例えば、家の外観、予算、建物の大きさ、部屋数や間取りなど、家族で話し合いながらチェックシートを作り、一つ一つチェックしながら見学し、疑問点などあれば質問し、シートに記入していくようにすれば住まいをプランニングする際の参考にすることができます。
住宅展示場を見学する場合ですが、じっくり見学できるのは、1日4~5社が最適で、できれば工法の違う住宅、たとえば、在来工法、2×4工法、プレハブ工法など異なるメーカーを組み合わせてみることにより、工期や間取り、コストなどを比較・検討することができますので効果的です。
規格住宅と自由設計プラン
ハウスメーカーでは、規格住宅(メーカーで決められた住宅)と自由設計プランがあります。
一般的には、生産性の高い企画(規格)型モデルを選ぶことにより、メーカーの規格部材を使うことによりコストを抑えることができ、住まいが完成した時の品質も一定になりますので、コストバランスに優れた住まいとなります。
また、間取りをプラン集(カタログ)から選び出すシステムですので、設計にかかる時間が短くてすむというメリットがあります。
一方、自由設計プランは、企画プランに比べると、坪単価が割高になることが多くあり、また、この工法では難しいプランを設定したときなどは、さらにコストがかかってしまうことが多いです。
自由設計プランで、コストダウンをする場合は、間取りをシンプルにしたり、仕様や設備を減らすなど工夫が必要となりますので、自由設計プランを選ぶ際には予算面を充分検討する必要があります。
折角自分の家族に合った住まいを造るのに、間取りをシンプルにしたり仕様変更していては自由設計プランの旨みがなくなります。
なお、自由設計プランの場合、打ち合わせに時間がかかりますので、時間的なことも考えておく必要もあります。
企画プランと自由プランのメリット・デメリット
企画プランには、メーカーより様々な仕様やグレードなどがありますが、いづれの場合も、自由プランよりコストを迎えることができます。
また、プランや仕様を限定することで、生産や部材の仕入れなどにかかるコストも削減することができます。
一方、自由プランの場合は、建て主の要望によりどうしても一品物が多くなりますので、コストが割高となってしまいます。
プランニング面を考えた場合、企画プランでは、メーカーによって違いはあるものの、50~500種類のバリエーションが用意されていますが、どうしても妥協しなくてはならない場合があり、万一、間取りや仕様の大幅な変更は困難で、変更できたとしても工期も費用も嵩んでしまいます。
しかし、自由設計プランの場合、設計担当者が建て主の希望を聞き、それをもとにプランニングしますので理想に近い住まいができますし、途中での設計変更も企画プランよりも簡単に変更ができます。
計画から引渡しまで
プランニングから着工、竣工、引渡しまでの進め方について、企画プランと自由プランでは以下のような違いがあります。
・企画プラン
企画プランのプランニングは、プラン集(カタログ)から間取りを選びます。
したがって、設計も敷地に合わせた設計だけですので、設計にかかる時間も短く、企画品ですので、部材関係など殆どが工場生産です。
また、着工した後でも現場で加工することが比較的少なく竣工、引渡しまでの期間が短くコストも抑えることができます。
よって、建て替えなどで仮住まいなどしており、完成を急ぐ方には向いていると言えます。
・自由プラン
自由プランは、家族に合わせた間取りや仕様、設備など納得のいくまで打ち合わせを繰り返し、細かい調整を行いながらプランニングしていきますので、企画プランより時間がかかり、工期も様々です。
また、工事途中でも多少の設計変更もできますので、現場での加工が必要となる場合もあり、工期や費用も高くなることもありますが、納得のいく住まいづくりができます。
自由プランの場合、設計担当者と建て主の相性がより重要になりますし、建て主の我を通せば、個性的な家を作ることができますが、使い勝手の悪い家ができてしまう場合もあり、引渡しが終わった後で、後悔してしまうということもありますので、設計担当者の意見を必ず聞くようにしてください。
ハウスメーカーの住宅は敷地の形状に左右される
一般的に住宅メーカーの住宅は、特殊な敷地、例えば、狭小敷地、変形敷地などには不向きといわれていますので、大抵の場合、工務店や設計事務所に依頼しています。
しかし、コスト面を考えると、工務店や設計事務所の場合、高くなることのほうが多く、住宅メーカーの方が全体的に抑えることができる場合が多くあります。
住宅メーカーに依頼する場合、敷地の形状や希望などをきっちり伝え、契約するまでの時間をしっかり取り、打合せを綿密に行って下さい。
住宅メーカーの場合、完成までのスケジュールはメーカー主導になる場合が多く、また、完成を急ぐケースもあり、巻き込まれないようにすることも大切です。
特殊敷地の場合、設計担当者ともよく打ち合わせをし、平面図、立面図などの資料を見ながら十分な説明を受けることが重要です。
営業マンを味方につける
住宅メーカーで家を建てる場合、契約を結ぶ相手はメーカー(会社)ですが、実際に話を進め、契約書をやりとりするのは営業マンという個人で、打ち合わせから完成まで数ケ月以上あるいは1年近く付き合っていくことになり、営業マンは単なる担当者ではなく、住まいづくりの良きパートナーと考えるのが妥当です。
つまり営業マンの力量や自分たちとの相性などが、家づくりを成功させるか失敗するのかが、カギとなります。
また、経験を積んだ営業マンは、知識の豊富なアドバイザーとして頼りになり、例えば、資金計画のことや融資の方法などを聞いたり、税金のことなどについて分からないことや、その他色々わからないことを遠慮なく質問することで、相手も、自分のことを頼りにしてもらっていると感じることにより、より親身になって考えてもらうことができます。
まとめ
住まいも合理的に考えることが重要で、工事期間や工事費用を重視するのか、間取りや仕様など住まい全体を重視するのかで、住まいのプランが決まってきます。
そのため、企画プランと自由プランのメリット・デメリットをよく理解して選ぶことが大切です。
住まいを建てる場合、設計の担当者や営業マンとの信頼関係を築くことにより、色々なことを相談することができます。
そのうえ、頼りにすることで親身になってくれますので、ぜひ、設計の担当者や営業マンを自分の味方にすることで、より良い住まいづくりを実現することができます。