シロアリの駆除と予防
法律を守って苦労して建てた住まいが、シロアリの被害を受け、土台や柱の木材が手で握りつぶせるほど、スカスカになってしまっているといったことは、特に特別なことではなく、どの住まいにもありうる話です。
シロアリの被害は、床下などの見えないところで進行するものだけに、非常に怖く、こうした被害から家を守るためには、どのような対策が必要なのか考えていきましょう。
シロアリと他の蟻との違い
住まいを守る対策の前に、シロアリとはどういうものなのか、また他の蟻との違いを知ることが大切ですので、これらについて述べていきます。
シロアリは蟻に形が似ており、コロニーをつくる生活様式も同じなのですが、生物学的にシロアリは、どちらかと言えばゴキブリに近いといわれており、世界中で2000種以上といわれ、日本でも20数類を数えられています。
シロアリの主要な食べ物は木材などの植物質のもので、朽ち木や住宅に使われた木などを食べます。
日本の代表的なシロアリとは
日本の代表的なシロアリには、千葉県以西の温暖な地域に生息するイエシロアリと、ほぼ全国に生息するヤマトシロアリがいます。
ヤマトシロアリは、地上に近い部分のみに害を与えると言われていますが、1階の天井付近まで被害を与えた例も多くあります。
イエシロアリは、柱を縦に食べながら住まい全体に被害を及ぼすこともあり、シロアリ被害に対しては、全国どこでも警戒が必要で、イエシロアリの場合、東京から西が中心でしたが、近年の温暖化により東京から東北方面も注意が必要です。
シロアリにとって、床下は絶好の生息場所となっており、建築基準法でも、地面から1mの高さまでの軸組には防腐・防蟻処置を義務づけていますが、防腐・防蟻処置にも期限がありますので注意が必要です。
シロアリの発見法
シロアリの発見法ですが、まず家の周囲を注意深く点検することが大切で、地面に置いた木箱や木材をひっくり返したり、堀など木柱やクイがあるときは根元も掘り起こす必要もあります。
シロアリを発見したら必ず、近くにシロアリの巣があると思って下さい。
シロアリは、蟻道という通路を木粉や細かい土砂で塗り固めるという性質がありますので、基礎コンクリートなどに蟻道がある場合は、すでに家の内部に侵入していると思って下さい。
蟻道の近くの木部をたたいてみて、ボコボコと内部がカラのような音がしたり、千枚通しやキリが簡単に入るようならば、被害はかなり進んでいると思って良いでしょう。
シロアリの駆除方法
シロアリを発見したときは、食い荒らしている部分にキリで穴を開け、スプレータイプのシロアリ用殺虫剤を吹き込みます。
この場合、1ケ所だけでなく、5㎝間隔ぐらいで穴を開けて、薬剤を吹き込むようにしておけば効果的です。
また、土の中の蟻道を通ってくることもありますので、土壌用の防蟻剤を床下や家の周囲の土に散布しておくとよいのです。
シロアリの駆除ですが、シロアリは素人では完全に退治(駆除)することは大変難しいですので、工務店やリフォーム会社あるいは、ホームセンターなどに相談して、専門家に依頼することが望ましいです。
シロアリの防除方法
シロアリの被害を防ぐには、総合的な対策が必要で、まず何より、床下を常に乾燥状態にしておくことが一番良い方法です。
シロアリの食害に強いといわれる樹種を選ぶことも効果的で、ヒノキやヒバはシロアリに強く、土台に向いているのですが、それでも床下換気を怠るとシロアリの被害に遭ってしまいますので注意して下さい。
施工法による防除方法ですが、「アリ返し」とも呼ばれる防蟻(ぼうぎ)版は、束石や基礎コンクリートに沿って侵入してくるシロアリを、下方に曲げた縁のある金属板などで阻止するもので、施工が良ければ、効果は望めます。
また、ある一定の大きさの砂粒をバリアにすれば、シロアリが侵入できないという実験結果もあります。
予防として、シロアリ対策用に開発された珪砂を床下にまくのもよいでしょう。
薬剤を使った防除法は
シロアリの被害を防ぐ方法として、薬剤を用いる考え方もあります。
しかし、ただ大量に散布したり、木材に注入したりする方法では効果が期待できません。
効果的にするには、シロアリの状態に合わせて、さまざまに工夫する必要がありますので、経験を積んだ専門家に相談し、対策と処理を依頼するのが良いのです。
素人や経験の浅い者が、駆除した場合、シロアリの個体は駆除できても、全体のコロニーが残って繫殖能力が生きていれば、シロアリが再び繫殖し、被害が止まらないということになってしまいます。
まとめ
シロアリには、イエシロアリとヤマトシロアリがおり、それぞれ住まいに及ぼす被害は同等で、シロアリを発見した場合は、自分で駆除するのでなく、専門家に相談して駆除してもらうのが重要です。
シロアリの防除として最も効果的なのが、床下換気です。
床下を風通し良くして、いつも乾燥させた状態にしておけば、シロアリは殆どよってきません。
シロアリだけでなく、羽アリを発見したときも要注意で、春先から初夏にかけて湿度が高くて暖かい日中に群れをなして飛ぶのがヤマトシロアリで、イエシロアリは夜間に灯火に集まってきます。
羽アリを見つけた時は、シロアリかどうか確かめることが必要です。