階段の考え方
将来において、高齢の親と同居する、あるいは自分たち夫婦が高齢になるなどで足腰が弱ってきたとき、階段をどうすればよいかを考える必要があります。
どんなにゆるやかな階段であっても上がり下がりはしにくいもので、階段をどのようにすればよいか考えていきましょう。
高齢者と階段
高齢者の親と同居することになった時など、階段をどうすればよいかを考えなければいけません。
身体機能がかなり低下している高齢者の方や歩行に障害のある人にとっては、たとえどんなにゆるやかな階段であっても、上がり下がりしやすい階段はありません。
一歩一歩しっかりした足運びが困難な人や小さなお子様にとっては、ゆったりした勾配であっても、少し急な勾配であっても、上がったり、下がったりという作業はかなりの負担となりますし、足を滑らし落下・転倒するということも考える必要があります。
そこで、階段を考えるポイントとしては、手すりと平面形状と昇降装置の三点によって階段を構成していきます。
階段と手すり
階段の設置が必要な場合は、勾配をゆるやかにして、手すりを取り付けますが、手すりを取り付ける場合、利き手側には必ず設置し、もう一方の壁は、必要に応じて手すりを取り付けなければいけませんので、手すり取り付用の下地を補強しておきます。
階段ですが、足元が滑りにくくする工夫が必要ですし、直線の階段ではなく、踊り場付きにすることにより、万が一転落したときも踊り場で止まり、下まで落ちずに済みます。
また、踏み板の奥行きを十分にとり、15段前後で上がり下がりできるのが望ましいです。
手すりですが、手すりをしっかり持って身体を支えることができることにより、階段を上がったり、下がったりする動作でも不安を感じることがありません。
また、両側に手すりを設けるとさらに安定感が増しますが、階段の幅を手すりと手すりの間は、80㎝~120㎝が必要となります。
片側あるいは両側に手すりを設けることで、高齢者や身体障害者、子供に限ったことではなく、健常者の方でも同じことが言えますので、ユニバーサルデザインの考え方になるのです。
最適な階段の形状とは
ご高齢の親と同居する際、2階へ上がる階段をどのように設置すれば、2階へ安全で安心して上がり下がりできる階段の形状を考える必要があります。
階段の形状としては、直線階段、螺旋階段、L型階段などがありますが、高齢者や身体に障害のある方が使いにくいのが、螺旋階段や幅の狭い廻り階段は歩幅の確保が難しく、また、踏み板を踏み外した場合、階段の途中で止まるということがなく、下まで落下してしまうことが多くあります。
将来的に階段昇降機の取り付けを考えた場合、直線階段、L型の階段の形状が望ましく、直線階段やL型階段を設置する場合、階段の途中に踊り場を設けることがポイントです。
また、直線階段やL型階段を設置する際ですが将来、階段昇降機の取り付けを考え、幅をできるだけ広く確保することが重要となりますが、階段昇降機を取り付けるのならば、直線階段の方が取り付けやすい形状だといえます。
昇降装置の考え方
昇降装置の考え方として、歩行が困難な人が階段を上がり下がりする必要がある場合、ゆるやかな勾配の階段に手すりを付けたりもしても、安全で快適な移動は確保されません。
昇降装置の場合、歩行が不自由な高齢者の方や身体に障害がある方や小さな子供のみならず、健康な人にとっても、昇降装置の利用は安全で、特に妊娠されている方にとって階段は、上がるにしても下がるにしても不安で怖いものですので昇降装置は、安心して使える装置といえます。
昇降装置ですが、最初から昇降装置を併用する計画を立てるのか、将来になって昇降装置を設置するのかでプランニングが変わってきます。
将来的に昇降装置を設置する場合、階段の位置・形状・勾配・手すりの位置などの配慮を総合的に考える必要があります。
ホームエレベーターの設置
階段の上がり下がりがつらくなり、エレベーターを付けたいと思う高齢者の方は少なからずいると思いますが、ホームエレベーターの設置にも様々なハードルがあるのです。
まず建物内にエレベーターを設置する場合、昇降機の建築確認申請を役所や審査機関に届け出る必要があり、特にRC造や鉄骨造の住まいでは、建物全体の安全性を確認しなければいけませんし、構造図面が残っていない場合、設置が認められないこともあります。
増築でエレベーターを設置する場合ですが、増築のための建築確認申請も必要となり、構造が一体になれば建物全体を現行基準に準じて補強しなくてはならず、工事が大掛かりになる場合もあります。
そのため、エレベーターを別構造とし、建物本体から独立した構造にすることにより、既存建物への影響を最小限にすることができます。
ただし、設置に必要な手続きは、自治体によって異なりますので、事前に相談することをおすすめします。
エレベーターの設置費用は小型のものでも、200~250万円程度かかり高価ですし、そこに増改築費用が数百万円必要になります。
また、電源引き込み工事や日々の電気代、定期点検費用などのランニングコストも必要となってきます。
階段昇降機の設置
高額なエレベーターの代わりに、椅子式の階段昇降機を設置する方もいます。
住戸内であれば、ほとんどの住まいに取り付け可能ですが、階段横の壁からレールが10~20㎝ほど出てきますので、狭い階段では有効幅が確保できない、使わない人には通行の妨げになるなどの障害となります。
また、車椅子利用者が使うには各階で乗り換えが必要になりますので、かえって体の負担となることもありますので検討が必要です。
まとめ
新築の住まいを建てる場合や、リフォームする際には、入浴スタイルに注意しながら基本計画を立てるようにするのが大切です。
高齢者(障害者)にとっては、階段の形状や寸法、手すりの配慮だけでは十分な対応は困難ですので、昇降装置の設置も考える必要がありますし、敷地に余裕がなく階段の有効幅をとることができない場合は、高齢者(障害者)の方の部屋を2階には設けず、1階に設けることも考える必要があります。