耐震診断の実施とリフォームのタイミング

耐震リフォームをする前に耐震診断をする必要があると言いますが、耐震診断とはどのようなものなのか、また、診断によって耐震リフォームが必要となった場合、リフォーム工事を行うタイミングとは何時なのかを調べていきましょう。

耐震診断の概要

耐震リフォームを行う前に耐震診断をする必要があると言われますが、耐震診断とはどのようなものなのでしょうか。

 

耐震診断とは、現在住まわれている家が、旧耐震基準で設計されており、耐震性能を保有してない建物を、現行の新耐震基準で耐震性の有無を確認することです。

また、新耐震基準で建てられた住まいであっても、経年劣化などによって劣化等が懸念される場合も、耐震診断の対象となります。

 

耐震診断の内容ですが、まず予備調査により、建物の概要や使用履歴、増改築、経年劣化、設計図書の有無等の内容を確認し、耐震診断レベル判断を行います。

この調査結果から構造の耐震性の検討・評価を行い、耐震診断の実施後は、依頼に応じて耐震補強案や概算工事等も検討してくれます。

 

耐震診断の一般診断とは

一般診断とは、目視による診断で、建物の外側及び内部を一通り目で見て診断する方法です。

建物の壁や天井・床などを壊して、内部構造部を確認するといったことは行いません。

 

意匠図(図面)と比較してプランが変わっていないか(リフォームなどによって壁や窓の位置・大きさなどが変わっていないか)どうかを確認します。

しかし、図面がない場合は、簡単な図面を作図して判断できるようにします。

 

図面が無い場合は、スケールなどを使って寸法を測りながら、建物のプランを作らなければなりません。

そのため、その時間と費用が必要となります。

 

また、仮に図面があったとしても、建物の仕様や診断に有効な情報があるのかということです。

例えば、外壁や屋根などは外観からもある程度仕様を判断することができるのですが、壁の中に筋交いなどの耐力のある補強材があるのか、天井や屋根裏に火打ちなどの耐震性を高めるための材料が入っているのか、基礎に鉄筋が入っているのかなどの情報が書かれていないと正確な診断は難しいと言えます。

 

新築物件で購入した場合は図面が残っていることが多くあるのですが、中古住宅の場合では、図面が残っていないことが多くありますので、中古物件を購入した方は一度確認してみて下さい。

 

一般診断にかかる時間は、2時間~3時間程度とされています。

基本的には、目視による診断ですので、費用も安く出来ます。

 

また、各市町村などの助成制度では、無料で診断士を派遣してくれるケースもあります。

また、費用を個人で負担する場合ですが、2~3万円程度か、無料で診断してくれる場合もあります。

 

民間企業を利用する場合と一般診断の注意点

民間業者の場合、無料相談や無料診断だけでなく、改修工事までを視野に入れているケースが多くあります。

無料診断の場合は、診断だけの依頼として後の工事については、確約しない条件でも診断してくれるのかどうか確認しておく必要があります。

 

ところで一般診断の場合、耐震強度の評点計算は簡易計算法を用いますので、精密診断によって劣化の状況や正確な耐力壁の位置などを確認したうえの計算ではない場合がありますので、この結果だけで補強計画や改修工事に利用するには不十分な場合もありますので、ある程度の目安として活用して下さい。

 

耐震リフォームの種類

耐震工事といっても色々な工法があり、耐震・制震・免震の3種類があります。

すべて同じように思われがちですが、それぞれ目的が違うのです。

耐震とは

耐震とは、壁や柱、基礎部分といった箇所の強度を向上させるもので、この言葉通り建物を振動から耐える構造に改修することで、一般住宅の地震対策によく用いられる工法です。

振動を軽減するというものではなく、振動に耐える建物にするのが目的とされています。

 

制震とは

制震とは、地震のエネルギーを吸収するダンパーを建物に設置することにより建物の揺れを抑え、倒壊を防ぐといったものです。

この工法は、一般住宅にも使えますがどちらかというと、高層ビルや高層マンションなど、上階部分の揺れが激しい建物に用いられる工法です。

 

免震とは

免震とは、地面と建物の間に免震装置を設置し、地盤と建物を切り離すことで地震の揺れを伝えないようにする工法で、地震による揺れを85%~90%カットすることができます。

耐震リフォームのタイミングとは

耐震リフォームを行うタイミングとして最適なのは、壁の補修や屋根の葺き替え時に行うのが良いのです。

壁や屋根のリフォームを行う際には、必ず解体作業が行われます。

 

その際に耐震リフォームを行うと一度に工事を行うことができます。

また、基礎部分の耐震補強は、床の張り替え時に行うのが費用も抑えることができます。

 

ただし、壁の場合は、内装工事を行う時です。

外壁の吹き付けや塗り替え工事の場合は、壁を解体しませんので、同時に行うことはできません。

 

住まい全体をリノベーションする際に行うのが一般的な考えで、リノベーションでは家屋を一旦、骨組みだけにしますので、その際に壁に筋交いが入っていない場合は筋交いを入れてもらう、また、基礎部分のコンクリートに鉄筋が入っていない場合は、金属プレートで補強する、あるいは、基礎にそって鉄筋コンクリートで一本化して、基礎を強化するなどの方法があります。

 

まとめ

耐震診断は耐震リフォームの前に行う診断で、築年によって新耐震基準なのか旧耐震基準なのか、また経年劣化によって劣化が進行していないかを目視や図面によって判断されます。

 

診断費用は多くの場合無料ですが、民間に依頼した際に、2~3万円程度必要となることがあります。

 

耐震リフォームのタイミングですが、耐震リフォームを単独で行うと、壁や天井などを解体して行われますので、費用が高額になってしまいます。

そこで、内装工事を行う際や屋根の葺き替え時に行うと、費用を抑えることができます。

また、住まい全体をリノベーションする時が一番最適です。

 

耐震リフォームは、壁の強固、基礎部分の強化となるのですが、屋根の重量も考える必要もあります。

屋根が重いと地震で建物が揺れた時に倒壊しやすくなります。

 

耐震リフォームを行う際は、よくリフォーム会社や工務店に相談して行うようにして下さい。

 

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