リフォームの相続税について

相続税対策でよくリフォームをする方がいますが、本当にリフォーム工事を行って税金対策になるのでしょうか。

相続税対策になるリフォーム工事とはどのようなものか、また、相続税の基礎控除額はいくらなのか調べていきましょう。

相続税とは

相続税対策の前に、相続税についてですが、2015年(平成27年)1月以前は相続税の額が、5,000万+(相続人数×1,000万円)までは相続税が非課税だったのですが、2015年(平成27年)1月からは、3,000万円+(相続人数×600万円)に変更されました。

 

相続税とは、親などが持っている不動産・動産などの全ての財産が対象となっていますので、数千万円以上になることが多くあります。

そのため相続に対する税金も必然的に高額となってしまい、相続財産に税金をかけずに有効に減らすことが税金対策とされています。

その対策の一つとして生前贈与という方法があります。

しかし、受け取る金額によって贈与税がかかってきますので、よく調べてから生前贈与をすることが重要です。

 

リフォームと相続税の関係

自己所有の土地に建物を建てている場合、2013年(平成25年)11月以前の場合、建物部分は固定資産税の評価額で相続税の価値を算出していましたので、リフォーム(リノベーション)しても固定資産税評価額が増えることがありませんでした。

そのため相続対策の一環としてリフォームをされる方が多くいましたが、2013年11月以降、リフォーム部分も相続財産として評価されることになり、再建築価格(リフォーム費用)から償却費相当額を差し引いた価額の70%相当額が相続税の対象となったのです。

たとえば、リフォーム費用が1,500万円、償却費相当額450万円とした場合、(1,500万円−450万円)×70%=735万円となります。この735万円が評価となり相続税の対象金額となります。

 

税制改正後の変化

税制改正前は、家屋を相続する際、リフォームを行って建物の評価額が上がる可能性もありましたが、建物の評価額が上がらないケースが多かったため、固定資産税の評価額もほとんど変わらずに、相続する財産全体として評価が下がり、結果的に節税対策になったのですが、改正後は相続税が増税する結果となったのです。

 

2013年(平成25年)の税制改正が行われた後の基礎控除額の変更は下記の通りです。

改正前:5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)

改正後:3,000万円+( 600万円×法定相続人の数)

改正後は、改正前より定額控除が2,000万円減り、法定相続人比例控除額も1人当り400万円減りました。

そのため、改正後は改正前より、リフォームで現金を減らすことによる節税対策の効果が薄れ、また、2013年に国税庁が公表した「増改築に係る家屋の状況に応じた固定資産評価額が付されていない家屋の評価」により、リフォーム費用の一部を家屋の価格に加えて評価しなければいけなくなったのです。

これにより、リフォーム費用を相続税の課税価格に加算していない場合、税務調査によって申告漏れを指摘される可能性がありますので注意が必要です。

 

現金や預貯金など動産資産によって、修正申告した場合にかえって支払う税金が増えてしまうことがありますので、リフォーム費用も相続税評価額に加算されることを覚えておくことが大切です。

 

相続税対策に有効なリフォーム

リフォームと言っても、トイレの便器や給湯器の交換、壁紙の張り替えなどの小規模なリフォームから、建て替えやリノベーションといった大規模なリフォームまで種類も規模もさまざまです。

 

この中でも相続税の節税対策として効果的なのが、増改築で床面積を増やさずに室内の内装などを取り替えることで節税対策となります。

 

建て替えや大規模な増改築は、「建築確認申請書」を提出しなければいけないのです。

大規模な増改築により床面積が増えることにより固定資産税の評価額が上がってしまい、相続税の評価額が高くなることがあります。

そのため、建築確認申請書の提出が必要のない、言うならば、床面積を増やさないリフォームが節税では有効になると言えます。

 

「小規模宅地の特例」では、二世帯住宅に建て替えて被相続人と同居していた子供が家屋を相続して住み続ける場合、家屋の土地は「特定移住用地」とみなされ330平方メートルまでの土地部分の評価が80%減税されます。

 

しかし、二世帯住宅内が2戸の住宅として別々に登記されている区分登記になっている場合、土地全体を小規模宅地等の特例対象にならない可能性がありますので、もし区分登記になっている場合は、親子が共有名義で登記する「共有登記」に変更する必要があります。

 

まとめ

相続税対策の基本は、相続財産を減らすことで、2013年以前では、リフォームすることによって施工費用に現金や預貯金を充てることにより、所持する動産を減らせるため相続税対策としてリフォームが推進されていました。

しかし、2013年の税制改正により、控除額が大幅に減りまた、リフォーム部分が相続財産として評価されるようになったためリフォームによる節税も意味がなくなってしまいました。

 

しかし、まだまだ建物の評価に関係のない内装工事などのリフォームが節税効果があると言えます。

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