住宅ローン減税の仕組み
マイホームを手に入れる方法には、現金でマイホームを購入する方法と、ローンを利用して購入する方法がありますが、ほとんどの方は住宅ローンを利用してマイホームを手に入れていると思います。
住宅ローンを利用して住まいを手に入れた際、税の優遇措置があります。これが住宅借入金等特別控除といわれるもので、一般には住宅ローン控除と呼ばれるものです。
住宅ローンを利用した際に受けられる住宅ローン控除制度ですが、消費税率が引き上げられると同時に制度も一部見直しがあります。そこで最新の制度を含め調べていくことにしましょう。
住宅ローン控除制度の概要
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得又は増改築等をし、令和3年12月31日(2021年)までに自宅の居住の用に供した場合、一定の要件を満たすときにおいて、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除するものです。(国税庁HPより)
つまり、住宅ローン控除とは、一定の要件を満たす新築や中古のマイホームを購入する際や住居の改築などをする際に、一定期間の間、ローン残高に応じた金額が所得税(所得税で足りない場合は住民税からも)から差し引かれる制度なのです。
住宅ローン控除は、通常の所得税控除(社会保険料控除、生命保険控除)とは違い、住宅ローン控除の場合、あらかじめ計算された所得税から税金が差し引かれ、納めた分の税金が戻ってくるのです。
また、所得税で控除しきれない部分は住民税からも控除されることになります。
なお、この制度の控除を受けるには確定申告が必要となります。
住宅ローン控除制度の対象となるローン
住宅ローン控除の対象となるローンは、下記の条件を満たした、長期固定金利住宅ローン「フラット35」や民間金融機関(銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行など)や財形住宅融資、地方自治体の融資や、年利0.2%以上の勤務先の融資が対象となりますが、支払時期が不明な借入金、たとえば、親族や親兄弟、友人などからの資金で期限を設けずに借り入れたお金など、住宅を購入するための借入金すべてが控除の対象となるのではありません。
1.民間の金融機関や独立行政法人住宅引用支援機構、地方公共団体、公務員共済組合などの一定の団体や、住宅資金の長期貸付期間を行う法人、勤務先から借り入れたものであること。
2.給料所得者が事業主団体から借り入れた場合は、金利が、年利0.2%以上であること。(役員が会社から借り入れた資金などの場合は、住宅ローン控除の対象外となります。)
3.給料所得者が事業主団体から利子の補助を受ける場合は、利子補給額を控除した後の利息が年利0.2%以上であること。
4.親戚・友人などからの個人的な借入金でないこと。
5.中古住宅を購入した場合は、前の所有者から引き継いだ債務(住宅ローン)ではないこと。
住宅ローン控除制度の対象となる住宅
住宅ローン控除の対象となる住宅の条件ですが、住宅ローン控除を受ける共通の要件として、合計所得が3,000万円以下で、住宅ローンの返済期間が10年以上であること(一部5年間の緩和措置あり)となっています。
しかし、住宅ローン控除の条件は、新築住宅か中古住宅かによって異なってきます。
新築住宅の場合の要件(マンション、一戸建て共通)
新築住宅を購入する場合は、住宅が居住用であることが条件です。
また、床面積においては、50㎡未満は適用外となっていますので、あらかじめ登記薄面積を確認することが大切です。
特にマンションの場合、住居占有以外の面積が販売資料や売買契約書に記載されている場合があり、税制上の床面積と異なることがありますので注意が必要ですので、必ず法務局に行って確かめるようにしてください。
店舗や事務所との併用住宅を探している場合ですが、床面積の半分以上が居住用であれば、半分以上が店舗や事務所として利用、あるいは貸家の場合でも住宅ローン控除の対象となります。
住宅ローン控除を受けるための主要条件
1.新築または取得日から6ケ月以内に入居していること。
2.借り入れした人の合計所得金額が、3.000万円以下であること。
3.住宅ローンの返済期間が10年以上であること。
4.登記簿上の床面積が50㎡以上であること。
5.店舗あるいは事務所などの併用住宅の場合、床面積の1/2以上が自分の居住用であること。
中古住宅の場合の要件(マンション・一戸建て共通)
住宅ローン控除は新築住宅だけでなく、中古住宅を住宅ローンを利用して購入した際にも適用されますが、以下の条件のいずれかを満たす必要があります。また、床面積においては、50㎡以上であることが必要です。
1.築年数が規定の年数以内であること。
2.木造などで建てられた耐火建築物以外の場合は、家屋が建築されてから20年以内であること。
3.鉄筋コンクリートなどで建てられた耐火建築物の場合は、築年数が25年以内であること。
4.以下のうちいずれか、一定の耐震基準を満たしていること。
(イ.耐震基準適合証明書の取得
(ロ.住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得
(ハ.既存住宅売買瑕疵保険の加入
住宅ローン控除を受けるための主要条件
1. 新築住宅の主要条件のほかに以下の条件を満たすこと。
2.マンションなど耐火建築物は、取得の時点で築25年以内であること。
3.木造住宅など非耐火建築物は、取得の時点で築20年以内であること、または一定の最新の耐震基準をクリアしていること。
4.生計を共にする親族(親や兄弟など)などからの購入ではないこと。
5.贈与された住宅ではないこと。
増築・リフォームの場合の要件
住宅ローン控除ですが、自宅のリフォームや増築をする際に住宅ローンを利用した場合、規定を満たしていれば住宅ローン控除を受けることができます。
住宅ローンを利用してすでに返済中の場合は、増築にかかる費用と合わせて住宅ローンの借り換えを行うことができ、住宅ローンの一本化を図ることができます。
しかし、住宅ローンを利用している本人が別の住宅に居住している場合は、適用外となりますので注意してください。
増築・リフォームの場合の要件ですが、床面積や所得金額は新築物件の条件と同様なのですが、その他に、リフォーム工事の内容については、大規模な模様替えの工事、家屋の一室の床または、壁について行う修繕工事、現行の耐震基準に適合させるための修繕工事、一定のバリアフリー改修工事、一定の省エネ改修工事と工事内容が定められていますので、どのような工事をしても住宅ローン控除が受けられるというものではありませんので注意してください。
増築・リフォームの条件にはこのような工事内容が定められているほかに以下の適用条件があります。
1.契約者自身が所有し、居住目的の家屋に対する増改築または、リフォームであること。
2.工事日から6ケ月以内に居住し、減税の適用を受ける各年の年末まで住んでいること。
3.工事費用が100万円以上で、その2分の1以上が居住部分の工事費用であること。
4.中古住宅を新規購入しリフォームする場合は、築後20年以内の木造住宅もしくは、マンションなどの耐火建築物の場合は築後25年以内であること。
住宅ローン控除を受けるための主要条件
1.新築住宅の適用条件のほかに以下の条件を満たすこと。
2.自宅で所有し、居住する住宅のリフォームであること。
3.一定の省エネリフォーム、バリアフリーフォーム、耐震リフォーム、または大規模な間取り変更や修繕工事などであること。
4.工事費用が100万円を超えていること。
5.店舗併用住宅等の場合、居住用部分のリフォーム費用が1/2以上であること。
住宅ローン控除の適用を受けるための手続き
住宅ローン控除の適用を受けるための手続きは、控除を受ける最初の年分と2年目以後の年分では異なってきます。
控除を受ける最初の年分は、必要事項を記載した確定申告書に、次に揚げる区分に応じてそれぞれに掲げる書類を添付して、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出する必要があります。
給与所得者は、控除を受ける最初の年分については、上記のとおり、確定申告書を提出する必要がありますが、2年目以後の年分は、年末調整で、この特別控除の適用を受けることができます。
年末調整には、税務署から送付される「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」・「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明」を勤務先に提出する必要があります。
住宅ローン控除の最新制度の概要
現在の住宅ローン控除制度は、令和3年(2021年)12月末までの居住開始から10年間の適用となり、各年の控除限度額は40万円で、認定長期優良住宅等の場合は最大50万円が上限として設定されているのです。
たとえば、一般住宅を購入し、年末時点で住宅ローンの残高が4000万円以上あるとした場合、ローン返済期間が10年以上あることを条件に、控除率1%、すなわち40万円の税額控除となります。
しかし、もし納めている所得税額が35万円など、40万円に満たない場合は、差額の5万円が住民税より控除されることになります。
まとめ
住宅ローン控除とは、「住宅借入金特別控除」と呼ばれる制度の通称で、マイホームを銀行などの金融機関や独立行政法人、地方公共団体、公務員共済組合など一定の団体、勤務先、事業主団体からの借入金で借入金利が年0.2%以上である場合、この制度を受けることができます。
住宅ローン控除は、新築の住まいをローンを利用して取得した場合だけでなく、中古住宅、増築・リフォームの際に利用したローンも対象となりますが、それぞれ住宅ローン控除を受ける条件があり、それらの条件を満たす必要があります。
住宅ローン控除を受ける場合、最初の年度については確定申告を行う必要がありますが、次の年度からは、給与所得者の場合は、勤務先の年末調整で住宅ローン控除を受けることができます。