はじめに

地球温暖化により、世界各地で、異常気象が発生しています。

この日本でも例外ではなく、近年巨大化する台風、日本近海の海水温度の上昇など色々な現象が起っています。

 

そこで世界各国で推奨しているのがクリーンエネルギーです。

世界的にクリーンエネルギーを普及させる運動が加速しています。

日本でも様々な取り組みが行われ、エネルギー需要のバランスを調整する動きがあります。

 

ゼロエネルギー住宅(ZEH)は、このような取り組みの一環として国を揚げて後押しし、エネルギー供給に自立した高性能な住まい作りをテーマとしています。

 

そんなゼロエネルギー住宅(ZEH)の意義や建設に必要なコスト、補助金制度などについて徹底的に調べていこうと思います。

 

「ゼロエネルギー住宅(ZEH)の徹底解説」

ゼロエネルギー住宅の定義

目次

1.ゼロエネ住宅のメリット
2.ゼロエネルギー住宅の定義 
3.ゼロエネルギー住宅とエネルギーの関係
4.ゼロエネ住宅の補助金制度
5.ゼロエネ住宅にする目的
6.準防火地域でゼロエネ住宅を建てるには
7.ゼロエネ住宅と健康
8.ゼロエネ住宅とAIF認証の関係
9.ゼロエネ住宅の業者選び
10.ゼロエネ住宅のコスト
11.ゼロエネ住宅を建てる前によく検討することが大切

 

以上の構成にて、解説していきます。

 

 

ゼロエネ住宅のメリット

世界的にも珍しい四季がある気候のため、日本は寒暖差の大きい地域です。

そのため本来ならどのような気候でも快適に過ごせる住まいが必要となります。

 

しかし、日本の住まいは古来より夏場に重点を置いていました。

そんな歴史的背景により、海外と比較すると、住宅環境の快適性に関して日本の住宅事情は遅れていると言えます。

 

日本は、世界から見ても長寿国と言われています。

それ故に、エコで健康に長生きするために、人生の大半を過ごす住宅の環境や居住性を見直し機能性の高い住宅、つまり、ゼロエネ住宅が必要となってくるのです。

しかし、ゼロエネ住宅のメリットを把握しておくことが大切です。

 

・高熱費などエネルギーの面から

ゼロエネ住宅の基本は、エネルギー供給に自立した住まいですので、家庭で使用する電力を、太陽光発電などでまかない、電気料金と余剰電力の売電によって均整を保つようにするため光熱費を抑えることが出来るのです。

しかし、ゼロエネ住宅といっても、家庭で使う全ての電力を太陽光発電等で安定的に電力を供給することは難しいですので、ある程度は電力会社から電気を購入する必要があります。

 

資料エネルギー庁の資料によれば、東日本大震災による東京電力福島第一原発事故以降、原発の稼働停止により、東日本大震災前の約62%(2010年度)から約88%(2013年度)へ上昇し、この水準は、第一次石油ショック時の約76%よりも高い水準となっています。

 

しかし、高気密・高断熱のゼロエネ住宅であるためエネルギー損失の少なく、通常の住宅より消費する電力量も少ないため、電気料金が高くなっても、通常の住宅より光熱費を抑えられると考えることができます。

 

・高気密・高断熱住宅

「入浴関連事故の実態把握及予防対策に関する研究(2013年度実施)」によれば、浴室で亡くなった人の数が年間19000人と推計されています。

 

死因としては、入浴時の溺死がトップなのですが、次に多いのが、暖かい浴室と寒い脱衣所の移動によって起きるヒートショック現象でした。

 

ゼロエネ住宅は機密性能・断熱性能とも優れています。

そのため年間を通して室温はある程度一定となり、これにより、夏場は特定の部屋が暑くなることで脱水症状や熱中症になってしまう危険性や、冬場はヒートショック現象が起きるといったリスクを減らしてくれると考えられます。

 

ゼロエネルギー住宅の定義

ゼロエネルギー住宅の定義ですが、高断熱による20%以上の省エネと太陽光発電などの自家発電設備による80%以上エネルギーを創造し、実質的に消費エネルギーをゼロに抑える住まいのことを言います。

 

現在、このゼロエネ住宅を将来的な住まいのスタンダードとなっていくよう、官庁と民間が一体となり、普及を推進しています。

 

・法で定められた省エネ性能

法律として建築物に対する省エネ性能向上を定めているのが、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」です。

しかし、この法律には特に罰則などは規定されておらず、指針に沿わない建築物に対しては、指示や勧告により指導するというものです。

 

「住宅事業建築主の判断の基準における計算に準拠した評価方法」とは、「省エネ法」によって定められたエネルギー消費量の計算方法で、冷房や暖房の方式、換気システムなど指針とすべき基準値をもとに詳細な計算が行えるよう、WEBに計算プログラムなどが用意されています。

 

この法律の中に、「年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロであること」で使われている「一次エネルギー消費量」とは、自然エネルギーを人が使いやすいように加工した、電気やガスなど二次エネルギー消費量を一次エネルギー消費量に換算した値です。

 

ゼロエネ住宅、創エネルギーと住宅性能などにより削減された省エネルギーの割合も定められています。

また、経済産業省が発表している「ZEHロードマップ検討委員会とりまとめ(平成27年12月)」によれば、少なくとも一次エネルギーの20%以上は省エネで削減しなければいけないとされています。

 

ゼロエネルギー住宅とエネルギーの関係

ゼロエネルギー住宅は、「省エネルギー」と「再生可能エネルギー」を併用させることにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指す住まいで、使用するエネルギーを減らすと同時にエネルギーを作り出し、自給自足を目指す住宅であり、この条件に当てはまる住宅をゼロエネルギー住宅といいます。

 

・一次エネルギーとゼロエネ住宅の関係

省エネ法に定められている「年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロであること」というのがあります。

 

ところで、一次エネルギーとは、石炭・石油などの化石燃料や太陽放射、風力、水力など自然エネルギーといった、加工前のエネルギーのことです。

この一次エネルギーを、化石燃料なら精製、自然エネルギーなら発電といったことで、変換・加工したエネルギーを二次エネルギーといいます。

 

この二次エネルギーを作るためには、漠大な量の一次エネルギーが必要となります。

このため、ゼロエネルギー住宅が一次エネルギーを基準にしている理由として、二次エネルギーを基準にすることにより、正確な収支が算出できないと言われています。

 

先程も言いましたが、二次エネルギーをつくるためには大量の一次エネルギーを消費するため、二次エネルギーを」基準にすれば本当の収支はつかめません。

一次エネルギーを基準にすることで、環境に与える影響がわかりやすいのです。

 

・ゼロエネ住宅には大幅な省エネが必要

ゼロエネルギー住宅の年間のエネルギー収支をゼロにするためには、室内の環境を維持しながら大幅な省エネルギーが必要となります。

 

この省エネを達成するには、外皮(外壁や窓枠)の断熱性能を大幅に向上させることが必要となります。

住宅の断熱性能を向上させることにより、「夏は涼しく、冬は暖かい住まい」を実現することができるのです。

室内の温度を安定させることで、冷房や暖房の温度設定や風量を強くする必要がなくなりますので、省エネにつながるわけです。

 

しかし、住宅の断熱性能を向上しても、エネルギーの消費をゼロにすることはできないのです。

昨今の異常気象により、どうしても冷房や暖房は必要となってきます。

それらのエネルギーをカバーするのが省エネルギー設備です。

 

従来の設備よりも効率性の高い高効率エアコンや消費電力の少ないLED照明、ハイブリッド給湯器など省エネ家電を導入することにより、エネルギーの消費量を抑えることができます。

 

ゼロエネルギー住宅を実現させるためには、断熱性能を向上させ、効率の高い設備システムの導入を考えることが必要不可欠なのです。

 

・再生可能エネルギーの導入を考える

省エネ性を向上させただけでは、エネルギー消費量の収支がゼロになるわけではありません。

確かにエネルギー消費量は減少しますが、そこで次に考えるのが再生可能エネルギーの導入です。

 

再生可能エネルギーとは、太陽光や風、水など地球環境に負荷をかけにくい自然のエネルギーのことです。

現在、ゼロエネルギー住宅に導入されているのが、太陽光を利用した太陽光発電システムなどです。

 

太陽光発電システムは、太陽光が当たると発電する太陽電池モジュール、創った電力をまとめる接続ユニットをはじめ昇圧ユニット、作った電気を使える状態に変えるパワーコンディショナーなどから構成されるシステムです。

 

ゼロエネルギー住宅では、このシステムによって創られた電気を効率よく消費するために、電気を溜めておく家庭用電池(バッテリー)や創ったエネルギーと使った、エネルギーを目に見えるように開発されたHEMS(Home Energy Management System)などをセットで設置し、これらのエネルギーを管理することにより、エネルギー消費量の収支ゼロを目指します。

 

・省エネと創エネルギーシステムの併用

ゼロエネルギー住宅の目的は、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることです。

この目的を達するためには、省エネ設備と創エネルギーシステムを併用することを考えます。

 

具体的な考えとして、外壁や開口部(窓や扉など)の断熱性能を高める構造にし、設備機器も効率性の高い設備を導入することでエネルギー消費量を減らすようにし、それと同時に、太陽光発電システム、家庭用蓄電池、HEMSなどを導入して家庭で使用するエネルギーを作ります。

これらの組み合わせにより、年間の消費エネルギーより年間の創エネルギーの方が大きくなると考えられます。

 

・ゼロエネルギー住宅の条件

ゼロエネルギー住宅の基本的な定義は、何度も言うように「年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすること」ですが、経済産業省によってネット・ゼロ・エネルギー・ハウスと認可されるためには、次の要件を満たしている必要があるのです。

 

・一定の断熱性能

断熱性能が「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)で定める基準以下であることが必要となります。

断熱性能は、全ての都道府県を6つの地域に区分けし、Ua値(外皮平均熱貫流率)とna値(冷房期の平均日射熱取得率)がそれぞれ定められています。

 

大まかな分類は、各都道府県で設けられていますし、実際には市町村別の区分もありますので、詳しくは経済産業省のホームページを参照してください。

 

・自然エネルギー

自然エネルギーは、ゼロエネルギー住宅特有の要件です。

この要件は自然エネルギー等を取り入れた、先進性が認められる設計手法・制御機構が不可欠とされています。

 

自然エネルギー等を取り入れた設計手法の具体的な例としては、「開口部通風利用システム」「床下冷熱利用システム」「自動制御式可動ルーバー」などです。

また、制御機構としての具体例としては、「日射連動シャッター」「照度センサー付き照明」「暗さ感知センサーによる照明システム」「屋内と屋外の温度差による換気制御システム」などがあります。

 

・計測装置の設置

「エネルギー使用量」と「創エネルギー量」を計測してデータを蓄積・表示できる計測装置の導入が必要となります。

 

計測は30分間隔で行い、1日単位のデータを13ケ月以上記録可能なものが条件となっています。

さらに、計測装置が安定して稼働し、定期的にエネルギー使用状況を報告できる状態にしておくことも条件となっています。

 

・太陽光発電システム

ゼロエネルギー住宅に不可欠なのが創エネルギー設備であるため、太陽光発電システムも必須条件となっています。

 

太陽光発電システムは、他の創エネルギーシステム、例えば、風力発電や蓄電池と比較した場合、最も普及しており、家庭用として導入しやすいシステムということで定められています。

 

SII登録の施工業者

ゼロエネルギー住宅の条件として、いろいろな設備などの設置が必要条件となっており、全てクリアすれば、ゼロエネルギー住宅(ZEH)に認定されるというものではありません。

条件をクリアするには、設計・建築または販売を行う業者がSIIに登録されている「ZEHビルダー」であることです。

 

SII(Sutainable open Innovation Initiative)は、ZEHの補助金を国から受け取り、書類審査によって申請者に給付する役割を負っている社団法人なのです。

 

 

ゼロエネルギー住宅(ZEH)の徹底解説 1~6

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