「ゼロエネルギー住宅(ZEH)の徹底解説」

ゼロエネルギー住宅の定義

目次

1.ゼロエネ住宅のメリット
2.ゼロエネルギー住宅の定義
3.ゼロエネルギー住宅とエネルギーの関係
4.ゼロエネ住宅の補助金制度
5.ゼロエネルギー住宅のメリットと生活の変化
6.準防火地域でゼロエネ住宅を建てるには
7.ゼロエネ住宅と健康
8.ゼロエネ住宅とAIF認証の関係
9.ゼロエネ住宅の業者選び
10.ゼロエネ住宅のコスト
11.ゼロエネ住宅を建てる前によく検討することが大切

以上の構成にて、解説していきます。

 

 

ゼロエネルギー住宅のメリットと生活の変化

経済産業省資源エネルギー庁が、外皮(外壁・窓など)の断熱性能等の向上・高効率な設備システムの導入・再生可能エネルギーの導入といいたことで、一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目的とした住宅、ZEH(ゼロエネ住宅)を推進していますが、このZEH(ゼロエネ住宅)のメリットとZEHにした場合の生活の変化について見ていくとこにしましょう。

 

・ZEH(ゼロエネ住宅)のメリット

ZEH(ゼロエネ住宅)の最大のメリットは、光熱費の大幅な削減です。

ZEHの定義はあくまでも光熱費ゼロということです。

このゼロは、普段の生活から20%以上の省エネと80%以上の再生可能エネルギー設備(自家発電等)から成り立ちます。

 

自家発電の場合、季節によっては電力不足となることもありますが、基本的には、年間を通じて電気代はゼロとなる計算になります。

 

ZEHのメリットには環境にやさしいということです。

石油や石炭といった化石燃料は、ガスや火力発電による電力といったエネルギーを作る際に、地球温暖化の大きな原因となる温室効果ガスである二酸化炭素を排出します。

 

しかし、ZEH(ゼロエネ住宅)に導入される再生可能エネルギー設備は、太陽光発電システムや家庭用燃料電池といったクリーンエネルギーであるため、環境にやさしいのです。

 

世界中でクリーンエネルギーを普及させる動きが年々加速してきています。

また、日本も経済産業省資源エネルギー庁が主となり、省エネ、創エネの家としてZEH(ゼロエネ住宅)の推進をしています。

 

この省エネ、創エネに関する設備の導入に対して、助成金制度や税制優遇措置を設けるなど色々な取り組みがなされています。

この取り組みの一貫として、ZEH(ゼロエネ住宅)に対する補助金制度があるのです。

 

しかし、この補助金制度ですが、具体的な件数や金額はその年度の予算によって異なってきます。

またこの制度はZEH(ゼロエネ住宅)の普及を推進するために設けられたものですので、期間等など未定となっています。

 

ゼロエネルギー住宅は、年々注目されてきています。

それに伴い申請者も増えてきていますので、審査も年々厳しくなってきているのも事実です。

 

 

・ZEH(ゼロエネ住宅)での生活の変化

ゼロエネルギー住宅は、環境などに優しいだけではありません。

ゼロエネルギー住宅は生活も変えてくれる住宅なのです。

 

ゼロエネルギー住宅の特徴は、省エネ性が極めて高く、生活に必要なエネルギーも自ら作り出せるということです。

太陽光発電システム以外に、家庭用燃料電池(エネファームなど)などでもエネルギー(発電)を作り出すことができます。

また、家庭用燃料電池では、発電する際に熱が発生します。

この熱を給湯に利用することもできますし、この熱を利用して、温水床暖房にすることもできます。

 

このようにZEH(ゼロエネ住宅)は、省エネ性が非常に高く、作り出したエネルギーも無駄にすることがありませんので、ZEH(ゼロエネ住宅)は売電で利益を出すこともできると言われています。

 

ゼロエネルギー住宅の省エネの秘密は、断熱性能が高いことです。

断熱性能が高いということは、室内温度の変動が少ないため、季節を問わず快適に生活を送ることが出来ます。

また、断熱性能が向上することにより、部屋間の温度にも差が生じにくいとも言われており、お風呂やトイレの室内温度も一定に保つことができますので、ヒートショック(急激な温度差による血圧の上昇や脈拍の変動など)のリスクを低減することができます。

 

断熱性能が高く住まい全体を一定の温度に保つことができますので、吹き抜けなどを設けることができるため、設計の幅が広がってきますし、窓に熱を伝えにくいLow-Eガラスなどを使用することで、結露ができにくくなりますので、カビやダニの発生を抑制することができます。

これにより肺炎や喘息の発生を防ぐことができますので、健康にもよい住まいと言えます。

 

これらのことを考えたとき、ZEH(ゼロエネ住宅)のように省エネ性を高めることで、住み心地の良い住まいとなるのです。

また、省エネ性能を高めることにより、売電により利益も出しやすいという点も見逃すことはできないと言えます。

 

今後の展望として、経済産業省は、2020年までにハウスメーカーなどが建築する住宅の過半数で、ZEH(ゼロエネ住宅)を実現することを目標にしています。

そのため、ZEH(ゼロエネ住宅)が、スタンダードな住宅になると考えられます。

 

 

準防火地域でゼロエネルギー住宅を建てるには

地域区分の中には、市街化区域、市街化調整区域などがあります。

またその区域には「防火地域」「準防火地域」があり、それぞれに色々な規定がや規則がありますので、建築できる建物も違ってきますので、どのような規則や規定があるのか見ていくことにします。

 

防火地域

市街地などにおいて、火災から住まいや人を守ることは、安全で暮らしやすい街づくりを進めるうえで重要となっています。

 

市街地では建物が密集していますので、火災が発生すれば延焼するリスクが高く、被害も大きくなる可能性が高いとされています。

そのため都市計画法で定められているのが、「防火地域」と「準防火地域」です。

 

主要駅前や大規模な商店街、主要幹線道路沿いなど、建物が密集し人が集まるところで火災が発生すれば大惨事になりかねません。

そういった地域には、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄コンクリート造などの耐火建築物しか建てることができません。

しかし、防火地域でも一定の基準を満たす場合は建築を許可される場合もあります。

防火が目的のため厳しい制限が設けられています。

 

準防火地域

準防火地域の大半は、防火地域を囲むように広範囲に指定されていることが多い地域です。

準防火地域も防火地域と同様に、市街地での火災による被害を防ぐために指定されています。

 

準防火地域においても、建築できる建物に制限が課せられていますが、制限の内容は防火地域比べて緩やかとなっています。

 

準防火地域の制限の内容ですが、4階建て以上または延床面積が1500㎡以上の建物については、耐火建築物にしなくてはなりませんが、延べ床面積が500㎡以下であれば、一般的な木造2階建てを建てることができます。

 

一般的な木造2階建てあるいは平屋建てを建てる場合ですが、何の制限もないというわけではありません。

一般的な家屋を建てる場合、隣地から一定の距離がなければいけませんし、延焼の恐れがある部分の外壁や軒裏は、防火構造にしなければならないという規定があります。

 

準防火地域において、一定の条件(基準)を満たすことによって、木造3階建ての家屋も建てることが出来るのです。

 

木造3階建ての一定の基準の中に、外壁の開口部の構造、面積、主要構造部の防火措置などに一定の技術的基準が定められていますので、準防火地域で木造3階建てを建築する場合に、これらの基準を適合させなければいけないのです。

 

 

準防火地域は住まいを自由に設計できない?

市街地において火災の被害を防ぐために指定されているのが、防火地域・準防火地域なのです。

 

先ほども述べましたが、準防火地域に指定されている地域では、建築できる建物に様々な制限が課せられていますので、準防火地域でゼロエネルギー住宅を建築する際、準防火地域で定められている基準にも適合させることが条件となります。

そこで、準防火地域にZEH(ゼロエネ住宅)を建てる場合のポイントは次の通りとなります。

 

・耐火性能の高い断熱パネル材の使用

ゼロエネルギー住宅に認定されるには、省エネ対策と創エネルギー対策の2つの条件をクリアする必要があります。

そのため、使用する建材や導入する設備なども認定を前提に考えなければよいのです。

 

ゼロエネルギー住宅を建てる地域が単なる市街地ならば、ZEH(ゼロエネ住宅)の認定だけを考えればよいのですが、ゼロエネルギー住宅を建てる市街地が準防火地域だった場合、ZEH(ゼロエネ住宅)の認定要件に加えて、使用する建材の耐火性能も考慮する必要があります。

 

耐火性能を優先させた場合、断熱性能が下がってしまうといった建材がありますので、耐火性・断熱性の両面から考えなくてはいけませんし、コスト面だけを考えるのであれば、準防火地域基準のクリアだけを考えればよいということになりますが、準防火基準だけを考えるといった妥協ではなく、両方をクリアするように考えることが大切です。

 

 

・窓や扉といった開口部の制限

準防火地域で住まいを建てる際には、開口部であるサッシやドア部分にも制限があるのです。

その理由として、市街地など密集した住宅街で火災が発生した場合に延焼する恐れのある部分には、防火設備の使用が義務付けられているということです。

例えば、ドアには防火性能が求められていますし、窓のガラスには網入りのものを使わなければいけません。

この規定は、ZEH(ゼロエネ住宅)であっても、一般の住宅であっても同じことです。

 

・太陽光発電システムの制限

ゼロエネルギー住宅の定義に再生可能エネルギーの導入が義務付けられています。

その一般的な再生可能エネルギーシステムの多くは、太陽光発電システムです。

ところが、準防火地域では、屋根の上に設置できる太陽光パネルの大きさに制限があります。

そのため、一般の住宅に設置するよりも規格の小さいものを選ばなくてはなりません。

 

太陽光パネルのサイズを小さくすることはそれに比例して発電量も少なくなります。

ZEH(ゼロエネ住宅)に認定させるためには、80%以上の電力を賄う必要がありますので、太陽光パネルのサイズを落としても発電量に影響しないパネルを選ばなくてはなりません。

 

・準防火地域でのZEH(ゼロエネ住宅)造り

準防火地域で住まいを建てる場合、耐火性能の高いパネルの使用や開口部の防火性能、太陽光パネルのサイズ制限など、幅広く制限を受けますので、準防火地域で住まいを計画する際は、これらのことに気をつけながら住まいづくりを進め、コストは少しかかりますが、ZEH(ゼロエネ住宅)の認定を受け入れるように計画することが大切です。

 

 

ゼロエネルギー住宅(ZEH)の徹底解説 1~6

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