「ゼロエネルギー住宅(ZEH)の徹底解説」
ゼロエネルギー住宅の定義
目次
1.ゼロエネ住宅のメリット
2.ゼロエネルギー住宅の定義
3.ゼロエネルギー住宅とエネルギーの関係
4.ゼロエネ住宅の補助金制度
5.ゼロエネルギー住宅のメリットと生活の変化
6.準防火地域でゼロエネ住宅を建てるには
7.ゼロエネ住宅と健康
8.ゼロエネ住宅とAIF認証の関係
9.ゼロエネ住宅の業者選び
10.ゼロエネ住宅のコスト
11.ゼロエネ住宅を建てる前によく検討することが大切
以上の構成にて、解説していきます。
ゼロエネルギー住宅の業者選び
ゼロエネルギー住宅は、高断熱・高気密など高度な省エネ商品、再生可能エネルギーなどによる自家発電装置の導入といったことにより、住宅そのもののスペックが高い商品となります。
そのため住宅の価格も一般的な住宅と比べると高額となってきます。
これにより業者にとっては、格好の商品となってきています。
それ故、悪徳業者や未熟な業者も参入し、粗悪な工事も増えつつありますので注意が必要となってきていますので、どのような手口があるのか見ていきましょう。
「期間限定」は要注意
どのような商品でもそうですが、よく耳にするのが「期間限定」「今だけ特別価格」「この機会を逃がすと」などと言って、契約を急がすような商法は要注意です。
服や食品なら話に乗っても良いかもしれませんが、住まいの場合は、住まいに使う建材や設備機器などじっくり検討し、何度も打ち合わせをして時間と気持ちにゆとりを持って交渉することが大切です。
「モニター価格」「モニター登録」は真っ赤なウソ!
よく雑誌やインターネット広告などに、「モニター登録すれば特別価格で」などという文字を目にしますが、住宅の場合も例外ではありません。
「モニター登録すれば特別価格で契約できます」ということを前面に打ち出して、契約を迫ってきます。
例えば「この地域では、あなたが初めてのゼロエネルギー住宅です。是非、モニターとなって発電量などを、毎月調査させてください。調査した資料をホームページに掲載させてください。これに同意していただくとモニター協力ということで特別価格にて提供します。」などと言って契約を迫ってきます。
しかし、これらは全てウソの可能性が高く、実際にはモニター制度などはありません。
他の人と比べてお得感を打ち出すだけですので、お得な話といって飛びつかずに慎重に判断することが大切です。
メンテナンス費用が無料という言葉は要注意!
どのような住まいでも経年劣化により、大なり小なりの補修や点検が必要となってきます。
ゼロエネルギー住宅は、他の住宅と違い、太陽光発電システムなどの発電設備機器が導入されています。
こういった発電設備機器は、定期的な点検が必須の精密機械です。
メンテナンスや維持費が全くかからないということはありません。
そこで、「維持費は一切かからない」という言葉の裏には、「あなたの家のメンテナンスやアフターサービスは行いません。」と言っているのと同じだと思ってください。
良心的な業者は、今後のメンテナンスなどにいくらぐらいの費用が必要となってくると教えてくれます。
色々な設備機器の組み合わせを勧めてくる
例えば、「エコキュートやエネファーム、オール電化などをセット契約すれば大幅な値引きができますよ。」と言った色々な機器を組み合わせて契約させる商法は要注意です。
これは不要な設備機器を抱き合わせて購入させる手口なのです。
しかし、エコキュートやエネファーム・オール電化は必ずしも悪い設備機器ではなく、ゼロエネルギー住宅には非常に有効なシステムです。
こういった設備機器について、インターネットやメーカーのカタログなどを見て自分自身で調べ、必要性を自分自身の頭で考え、納得した上で契約するようにしてください。
間違っても、「業者の言葉の言いなりになって契約する」ということだけは避けるようにしてください。
補助金は必ず受給できるとは限りません!
補助金制度は先にも述べた通り、毎年、件数や金額が変更になりますし、審査も厳しいですので、どんなに経験豊富な大手メーカーでも必ず受給できるとは断言しません。
逆に言えば、「必ず給付金を受けることができます」あるいは、「必ず給付金を受け取れるようにします」という業者は、信用することができませんので、こういった言葉を売り文句にしている業者は要注意ということになります。
悪徳業者を見抜くポイント
マイホームを建てるあるいは、リノベーションするとなると人は皆、期待と不安を抱きます。
こういう時こそ冷静になって検討し、自分一人で検討・計画せずに、家族など周囲の人と一緒に進めていくことが重要だといえます。
営業マンに注意!
営業活動は、どこの会社でも行っている行為です。
現在はインターネットの普及により、企業のホームページからの一括見積や住宅展示場での販促活動が主流だと思われがちですが、今も昔も営業方法はあまり変わっていません。
飛び込み営業なども行っていますし、各戸へのポスティング活動も行われています。
訪問営業が全て悪質な業者と思われがちですが、良心的な業者も多くいるのも事実です。
では、どのような営業マンが悪質なのでしょうか。
悪質あるいは悪意のある営業マンの場合、「今、契約すればこの価格でできます」「今、契約しないと損ですよ」などと言って、契約を急がす手口は注意が必要です。
住まいの見積もりというのは複雑であるため、このような契約の仕方はしません。
見積書を作成する前に、仕様書を施主(発注者)と一緒に作成します。
仕様書と同時に仮図面も作成してきますので、これだけでも少なくとも1か月は必要となってきます。
ゼロエネルギー住宅は、一般の業者には施工することができません。
まして、ゼロエネルギー住宅の補助金は、一般社団法人SIIが定めるZEHビルダーに登録している業者が施工する住まいしか、認められていません。
また、太陽光パネルは、メーカーごとに発行する施工IDがないと施工が認められておりませんので、契約前に、ZEHビルダー登録状況と施工IDを確認するようにすれば、悪質な業者を見抜くことができるのです。
また、住まいを検討する場合は、最低でも3社は見積書をとるようにしてください。
ただし、価格競争だけはしないように注意してください。
ゼロエネルギー住宅のコストを考える
ゼロエネルギー住宅の主旨は、あくまでも省エネと再生可能エネルギーなどにより自家発電をして、消費エネルギー是尾を目標に環境を保全することを目的としています。
そのため、自家発電による売電の収益や補助金を目当てに考えるものではないのです。
そこで、これらを踏まえてゼロエネルギー住宅の施工費やランニングコストなどについて考えていきましょう。
ゼロエネルギー住宅の導入費用は
一般的な住まいとは異なり、ゼロエネルギー住宅は高断熱・高気密であるため、高性能の省エネ設備と自家発電システムの導入が必要となりますので、かなりの設備投資が必要となります。
そのため、一般的な住宅と比較した場合、ランニングコストも大きく変わってくるのも事実です。
一般的な住宅とゼロエネルギー住宅とでは、省エネ設備・機器の導入により設備費及び工事費での差額が、500万円~600万円違ってくると言われています。
この差額には、ゼロエネルギー住宅に認定される要件である、住宅性能だけで20%の省エネの実現と、80%以上の電力の自家発電供給が含まれており、これを証明しなくてはならないのです。
住宅性能20%の省エネでは、断熱性能に優れた外壁材や屋根材などの建材に加えて工法も必要となってきます。
また、開口部には断熱性が高いサッシ(Low-Eガラスなど)やドアなどの建具類なども、省エネ性能の高いものを選ぶ必要がでてきます。
それら省エネ設備の採用により、住まいだけで20%以上の省エネを実現させることができるのです。
そして、これらに掛かる費用ですが、住まいの規模や設備の種類や性能・工法にもよりますが、最低でも一般住宅に掛かる工事費用に150万円~200万円は上乗せする必要があります。
次に80%以上の電力を自家発電で賄う設備ですが、一般的な設備として太陽光発電システムの導入があります。
一般的に住宅に用いられる太陽光発電システムの相場ですが150万円くらいです。
しかし、四季を通して発電量が一定しないために、蓄電池など電気をストックしておく装置も必要となってきますので、太陽光発電システム本体に蓄電池や設置費用などを加算した場合、安く考えても350万円~450万円は必要となってきます。
これらを考えれば、ゼロエネルギー住宅のコストはかなり高いものになってきます。
これはあくまでも設備費用だけですので、ランニングコストは含まれていません。
今後のランニングコストとして、自家発電設備のメンテナンス費用も考えておく必要がありますし、外壁の吹き替えや屋根の葺き替えなどの費用も発生してきますので、総額で1,000万円は超えるものだと考えられます。
ただし、外壁や屋根などのメンテナンス費用は、一般住宅でも必要となってきます。
この試算ですが、これはあくまでも現在の相場で計算したものです。
今後、ゼロエネルギー住宅が一般化した場合、ハウスメーカーや設備機器メーカーでは、今の価格より安価で高性能な設備機器や建材など安定した製品を市場に流通してくると思われます。
ゼロエネルギー住宅(ZEH)の徹底解説 1~6