雨水を利用する
昨今、集中豪雨など雨が降れば大きな災害につながることが多くなりました。
そこで今回は、雨によって受ける住まいの被害を無くしながら、エコにも役に立つものとして、雨水の利用を考えてみませんか。
雨水を「雨水タンク」に貯めておき、家庭菜園やガーデニングなどで活用することはもちろんですが、近年の異常気象に伴う豪雨による床下浸水の防止としての役目を兼ねています。
雨水利用の効果とは・・・
自然の恵みでもある雨ですが、時には豪雨となり住まいなどに大きな被害を与えることがあります。
そんな雨水を有効利用するのです。
雨水利用とは、屋根等に降った雨を貯めて、家庭菜園やガーデニングなどの散水に利用するシステムです。
この雨水利用は、貴重な水資源の保護と都市インフラの負荷の軽減に貢献します。
また、庭などに散水することにより、地下水の枯渇やヒートアイランドの防止の効果も期待することができるのです。
さらには、雨水を貯めておいた水を、台風や地震などの自然災害時や断水時の非常用の水として活用することもできますし、集中豪雨などにより床下浸水の被害に遭うのを防ぐこともできます。
簡単な雨水利用の方法
簡単に雨水を貯めるといっても、ピンとこない方も多いかと思いますので、簡単な例をご紹介します。
一般的な戸建て住宅における雨水の集め方と貯留システムですが、雨樋(とい)の下部に分流装置を設けるのです。
このとき、なるべくキレイな水だけをタンクに貯めて、植栽の灌水(かんすい)などに利用するのが、一般的な活用法となっています。
雨水は蒸留水ですので、基本的にはキレイな水なのですが、大気汚染などの影響で酸性雨などが心配されることもあります。
しかし、多少の酸性雨でも、庭散水や洗車、便所洗浄水などに利用することを想定した場合は、一般の地域では問題がないと言えます。
大規模な雨水利用施設に対しては、水質基準が定められていますが、実際の水処理では、粗いフィルタリングと沈砂、塩素注入だけでこの基準を満足している場合がお送ります。
ところで、家庭用の雨水利用システムの場合は、一般的には塩素注入までは行わないため、長に渡り雨が降らないときは、臭いや濁りがないかを確かめて利用することが望ましいといます。
貯蔵タンクは密閉性の高いものを選ぶのが良いのです。
密閉が悪いと、そこから蚊や虫が侵入しボウフラが湧いたりするのです。
また、浮遊物をオーバーフローさせて取り除く、給水口は側面から取り付ける、清掃用の排水口は底面に付けるなどの構造が有効とされています。
どの程度の雨が利用できるのか
雨水の貯留量はどれくらい?
地域と規模により異なってきますが、例えば東京の年間降水量の平均値は約1500㎜です。
雨樋の受け持ち面積が10㎡だと仮定すると、年間降水量は15㎥程度、降り始めの雨を捨てて、キレイな水のみを集めると約12㎥、貯留タンクの大きさはあまり大きくできませんので、大雨のときはオーバーフローしますので、実質年間5㎥程度の水が使えるという計算になります。
これを上下水道の料金に換算した場合、千円程度と考えられますが、この水で植栽(10~20㎡)の散水には、十分使える量だといえるのです。
便所の洗浄水に利用は?
貯留した雨水を便所の洗浄用の水に利用する場合、クロスコネクションに注意が必要となってきます。
しかし、雨水だけで100%賄うことは不可能ですので、水道水と混用することになります。
このとき問題になるのが、クロスコネクションです。
クロスコネクションとは誤接続で、水道水が断水した場合などで、何らかの原因で雨水や排水が水道管に逆流することがないような構造にする必要があるのです。
業務用のシステムでは、雨水などを利用した中水の系統を明確に分けて、クロスコネクションを防止しています。
家庭用のシステムとしては、インターネット等でロータンクの改造などの事例が紹介されていますが、使用の可否に関しては、所轄の水道局に確認されることをお勧めします。
停電や断水のときに、バケツで利用するという程度であれば、貯留タンクで十分対応することができますので、深く感がる必要はないと思います。
放射能などの影響は?
地域ごとの雨水やチリなどの降下物に含まれる放射線量「Bq/㎡」は、インターネットなどで公表されていますので、そちらを参照していただければ良いと思います。
2018年8月現在では、どの地域でも高い値は報告されていません。
しかし、あくまでも雨水ですので、いくら放射線量の値が低く、人体には何ら影響がないと言っても、水浴びや飲用には利用しないでください。
水浴びや洗顔に使う場合は、必ず浄化して沸騰させてから使用するようにしてください。
まとめ
雨水利用に関して、「雨水の利用の推進に関する法律」(平成26年法律第17号)が、平成26年5月1日に施行されたのです。
この法律は、近年の気候変動等に伴い水資源の循環の適正化に取り組むことが課題となっていることを踏まえ、その一環として雨水の利用が果たす役割に鑑み、雨水の利用の推進に関し、国等の責務を明らかにするとともに、基本方針唐の策定その他の必要な事項を定めることにより、雨水の利用を推進し、もって水資源の有効な利用を図り、合わせて下水道、河川等への雨水の集中的な流出の抑制に寄与することを目的としています。
これにより、一般家庭においても貯留タンクの設置などにより、雨水を貯留して家庭菜園やガーデニング、断水時の非常用の水として利用するシステムです。
この雨水利用は、貴重な水資源の保護とインフラの負荷の軽減に貢献するとされておりますので、貯留タンクの設置などによる費用を負担してくれる自治体もありますので、お住いの自治体にお問い合わせください。