住宅火災に備える

住まいは大切な家族と毎日楽しく過ごす場所です。

そんな場所をちょっとしたミスで失うといったこともあります。

 

日本では、毎年45,000件を超す火災が発生しています。

火災を他人事と考えず、火災を起こさない、起こったとしても最小限に止める対策を考える必要があります。

そこで、室内の防火対策をどのようにすればよいのか、また防火材にはどのようなものがあるのか調べていきましょう。

 

防火対策の必要性とは

火災は自分が注意していても、他からの延焼などにより火災が発生することも考えられます。

 

しかし、現在の住まいでは、室内環境の改善や住まいの健康に寄与するなど、新たな機能や様々な付加価値を有する建材が開発されています。

このような建材の選定を考えていると、建材の基本的な性能を見落としがちです。

 

火災が発生した場合、火は室内から燃えていきますので、室内の火災対策が必要となってくるのです。

 

火災安全性は、私たちの生命と財産を守る大切な基本性能の1つです。

一般に建物の火災安全性を確保するための防火対策は、その建物を計画、設計する作業の中で検討されます。

そのため、通常は建築基準法や消防法など、関連法規を遵守することで実現されています。

 

建物の住人やユーザーとしては、法規の概要や考え方を理解し、住まい方や建物のメンテナンスにつなげていくことが、重要といえるのです。

 

住民に一番身近な室内の防火対策には、建築基準法における防火材料による内装制限と、消防法における防炎性の規定があります。

 

防火材料(不燃材料、準不燃材料、難燃材料)

火災による被害を抑制するためには、出火の危険性を低減し、火災を初期の段階で食い止めて、延焼拡大を防止することが重要です。

 

そのために、室内においては壁や天井に用いられる内装材料を燃えにくい材料で構成する必要があります。

また、このような内装材料は、火災に際して建物内の人々が安全に避難するため、火や熱にさらされても避難を阻害するような有害ガスを発生しないように配慮しなければなりません。

 

このような燃えにくく、燃焼拡大をくい止められる建材、火災時に有害ガスを発生しない建材を、一般的に防火材料と呼んでいます。

 

建築基準法では防火材料を、「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」の3種類に分けて規定して、火災のときに求められる要件(技術的基準)を下記の通り定められています。

 

防火材料の技術的基準(建築基準法施行令第108条の2

不燃材料の場合は、要件を満たす時間は20分間、準不燃材料は10分間、難燃材料は5分間とされています。

 

それぞれの要件とは、燃焼しないものであること、防火上有害な変形・溶融・亀裂その他の損傷を生じないものであること、避難上有害な煙またはガスが発生しないものであること、とされています。

 

共通の3つの要件は、防火材料の種類ごとに定められた時間にわたって、確保する形になっています。

 

また、火災の初期に燃焼の拡大を抑制して、建物内の人々が安全に避難できるように設定されています。

 

このような要件を満たすことが確認されている防火材料には、政令や告示等で定められている材料の他、性能評価試験を受けて国土交通大臣の「認定を受けた」材料があります。

 

 

防火材料と認定番号

防火材料のうち、性能評価試験を受けて国土交通大臣の「認定を受けた」ものには、以下のような認定番号(アルファベット2文字+4桁の数字)が付けられて登録されています。

 

不燃材料:NM-〇〇〇〇(外部仕上げ用の不燃材料:NE-〇〇〇〇)

準不燃材料:QM-〇〇〇〇(外部仕上げ用の準不燃材料:QE-〇〇〇〇)

難燃材料:RM-〇〇〇〇(外部仕上げ用の難燃材料:RE-〇〇〇〇)

 

認定番号は、材料の裏面などに記載されていることもありますが、特別な表示制度はありません。

このため、メーカーの仕様書やカタログ等に、記載されていることが多くあります。

 

登録されている材料の台帳が、「構造方法等の認定に係る帳簿(建築物関係)」として、国土交通省のWeb(http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/register.html)に公開されていますので、認定番号や材料名称などを確認することができます。

 

 

建築基準法で規定されている内装制限とは

建築基準法で規定されている内装制限ですが、建築基準法では、火災時に建物内部が燃えないよう、壁・天井の内装仕上げ材料等に不燃材や準不燃材、難燃材料を用いる制限を設けて安全性を確保するように規定されています。

 

この規定は、建物や用途や床面積に応じて制限内容が規定されており、不特定の人が利用する施設や病院などの施設、床面積や建物内の配置などから、火災時の避難に時間を要すると予測される場合について、避難時間を確保できるよう計画されています。

 

戸建て住宅ではなく、集合住宅において、耐火建築物(コンクリート造など)であれば、3階以上の高さがある建物については、内装材料として、準不燃以上の性能の製品を使用するという内装制限があります。

 

消防法で規定されている防炎規制とは

消防法で規制されている「防炎規制」は、住まいの中の繊維製品(カーテン・絨毯・カーペットなど)を中心に、材料の火の着きやすさ(着火性)を抑えて、火災が発生する危険性を低くしようと考えるものです。

 

これは消防法に位置付けられており、不特定多数の人が出入りする施設などのカーテンや絨毯等について、所定の性能基準を満たした「防炎物品」を使用することや、「防炎表示」を行うことが義務付けられています。

 

また、住宅火災の発生減少を目的として、消防法に基づく防炎規制以外の身の回りの繊維製品等について、着火性を改善した製品を消費者が購入できるよう、防炎製品認定委員会(日本防炎協会)が「防炎製品」の認定を行っています。

 

まとめ

毎年、45,000件以上の住宅が、火災で焼失あるいは多大な被害を受けています。

火災による被害を抑制するためには、出火の危険性を低減し、火災を初期の段階でくい止めて延焼拡大を防止することが重要となってきます。

 

そのためには、室内において壁や天井などに用いられる内装材を、燃えにくい材料で構成する必要があります。

 

そこで、建築基準法や消防法などで細かく規制や規定されています。

また、建築基準法などに定められている防火材料には、「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」があり、それぞれ要件などが定められています。

 

これらの材料を、正しい場所に正確に使われていることを、確認することが大切です。

そのため、設計段階や施工の打ち合わせ時に、納得いくまで説明をしてもらうようにするのが重要です。

スポンサーリンク
おすすめの記事
スポンサーリンク