窓で省エネを実践しよう!
断熱・気密性能に優れた高性能住宅は、快適な住み心地が得られるだけでなく、省エネ・エコに繋がるのです。
そして、この高性能住宅には「窓」が重要な役割を果たすのです。
住まいを考える際、「デザイン」、「価格(施工費など)」「立地条件」などが重視されることが多くあります。
しかし、長く快適に暮らしていくのであれば、断熱性能にも重視した住まいにすることです。
窓などの開口部は、住まい全体の50%以上の熱を損失させているのです。
このため断熱性能を高める必要があるのですが、断熱性能に優れた高性能住宅とは、窓や断熱材などに断熱性の高い材料を使い、気密性を高めるために隙間を少なく施工された住宅です。
そこで、窓まわりでの省エネを考えてみましょう。
窓まわりで省エネ
窓まわりは、アルミのサッシ枠にガラスがはめられ、室内にはカーテンやブランド、室外には雨戸やシャッターが取り付けられています。
通常使用されるサッシは、熱を伝えやすいアルミ製の枠に1枚のガラスを使用した製品です。
室外の雨戸やシャッターも熱を伝えやすい鋼製の製品が多く、カーテンも遮光性を高めるために生地を厚くした程度です。
これらの製品の断熱性能を高めて、省エネ化を図る必要があるのです。
断熱タイプのサッシ
サッシには、枠や障子とガラスを熱の伝えにくい素材で製作した断熱タイプの製品があります。
サッシの素材
サッシの主材料は、PVC(硬質塩化ビニル樹脂)、木、アルミです。
サッシの断熱性能は、熱を伝えにくい木やPVCを使用したものがよく、次にアルミと木やPVCの複合サッシ、アルミの熱絶縁サッシ、アルミサッシの順になります。
熱を伝えやすいアルミ製サッシは、アルミ枠の室内外を熱の伝えにくい素材で絶縁することや、アルミと木やPVCを複合することにより、断熱性能を向上させた製品が開発されたのです。
ガラスの種類
ガラス2枚の間を密閉空気層にして断熱性能を向上させたガラスを「複層ガラス」といいます。
複層ガラスには、性能を向上させるために、Low-eガラス(低放射ガラス)を使用した製品や、空気層にアルゴンガスを充填した製品があります。
2枚のガラスの間を真空にして性能を向上させた製品や、これらの要素技術を複合させて、より性能を高めた製品もあります。
サッシの断熱性能
引き違い形式のサッシの断熱性能(熱貫流率、単位:W/(㎡・K)、以下U値という)のU値は、数値が小さいほど性能が良いことを示します。
サッシの断熱性能は開閉形式で大きく異なり、引き違い形式よりも開き形式の方が性能はよくなります。
開き形式のPVC製で、3重低放射複層ガラス(Ar10mm)や、木製で低放射複層真空ガラス(Ar12mm)を使用した製品には、単層でもU値が1.23、1.51になるものがあります。
単層のサッシに使用するガラスの性能を向上させるだけでなく、外窓と内窓からなる二重サッシにすることでも、断熱性能は向上します。
窓からの熱損失はどのくらいある?
開口部からの熱損失は、住まい全体の50%以上といわれています。
省エネ法の開口部、外壁、天井、床の断熱性能の基準ですが、Ⅰ地域からⅤ地域まであり、
Ⅰ地域の値;開口部:2.33、外壁:0.35、天井:0.17、床:0.24
Ⅱ地域の値;開口部:2.33、外壁:0.53、天井:0.24、床:0.24
Ⅲ地域の値;開口部:3.49、外壁:0.53、天井:0.24、床:0.34
Ⅳ地域の値;開口部:4.65、外壁:0.53、天井:0.24、床:0.34
Ⅴ地域の値;開口部:4.65、外壁:0.53、天井:0.24、床:0.34
となっており、開口部からの損失熱量は他の部位の10倍前後になります。
省エネ基準により東京で建設された戸建て住宅では、窓からの損失熱量が住宅全体の暖房時51%、冷房時69%と示した試算があります。
開口部の断熱化は、住宅の省エネのための重要なポイントなのです。
サッシ枠を取り換えることなく、断熱性能を高められるのか?
結論から言えば、ガラスを替えることや内窓を取り付けることで可能となります。
サッシの断熱性能は、ガラスに影響されるため、高性能複層ガラスにすることで大幅に向上させることができるのです。
サッシに取り付けるガラスの厚みには限界がありますが、単板ガラス用のサッシでもアタッチメント複層(A6mm、U値3.8)ガラスに取り換えが可能です。
また、アルミ製の単板ガラスのサッシのU値は6.26ですが、木製の低放射真空ガラスの内窓を取り付けて、二重サッシにすればU値は1.22になり、大幅に断熱性能を向上させることができるのです。
雨戸やカーテンも節電に役立つのか?
雨戸やカーテンといったアイテムも、断熱性能の高い素材を選び、隙間を少なくすると大幅に断熱性能は向上するのです。
一般の住まいでは帰宅しから冷暖房器具を使用することになります。
そのため、夜に閉めるカーテンや雨戸などを、断熱性能の高い素材にすることで省エネになるのです。
住まいの省エネ基準の解説では、カーテンなどを使用する夜間が60%、使用しない昼間を40%としています。
カーテンや雨戸などによる断熱性能の向上効果は、熱貫流抵抗の増分⊿R示され、この値が大きいほど性能が良いことを示します。
まとめ
窓などの開口部による熱損失は、住まい全体の50%以上とされています。
住まいの省エネを実現させるためには、窓などの開口部の断熱性を高める必要があります。
サッシのガラス部分を複層ガラスや二重サッシなどにすることで、断熱性能を高めることができるのです。
また、カーテンや雨戸も断熱性能高いものにすることにより、断熱性を高めることができるのです。
住まいのリフォームを考える時は、デザインも大切ですが、断熱性に気を配りながら住まい全体のデザインを考えてみてはいかがですか。