身体にやさしい建材選びのポイント
健康的な住まいにするためには、室内の空気の質をコントロールする必要があります。
そのため、適切な建材の選定による建築的対策と、換気や空気清浄機などの設備的な対策とがあります。
そこで、建材選びを中心に、健康的な住まいを手に入れるためにはどのような建材を選べばよいのか、またどのような建材があるのか調べていくことにします。
建材選定の目的
健康的な住まいにするには、室内空気質のコントロールが必要不可欠となっています。
そのため、適切な建材選定による建築的対策、換気や空気清浄機などの設備対策、そしてそれらを監視する濃度測定など相互に取り組む必要があります。
特に、建材は室内へ直接的に化学物質を放散しますので、化学物質放散量の少ない建材、あるいは化学物質が含まれていない建材を選定することが重要であるといえます。
また、健康の視点で建材を選定する際は、化学物質の放散抑制だけを考えるのではなく、防カビ性、調湿性、低衝撃性など、総合的に判断することが望ましいといえるのです。
健康に配慮した建材選定とは
健康に配慮した建材を選ぶ場合は、ホルムアルデヒドの等級区分のF☆☆☆☆に該当する建材を選定することは必須となっています。
ホルムアルデヒドの等級は、「JIS A 1901の小形チャンバー法」や「JIS A 1460のデシケーター法」で得られた値のことをいいます。
F☆☆☆☆などの建材を使用する場合は、使用面積制限に十分注意して使用します。
揮発性有機化合物の場合は、トルエン、キシレン、エチルベンゼンおよびスチレンについて、(財)建材試験センターは、2008年4月1日に「建材からのVOC放散速度基準」を定めたのです。
各業界団体等では、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの4VOCとともに配慮すべき化学物質を含めて、独自の表示制度や管理制度を設けています。
そのため、放散量データがないが多くありますので、放散量のデータをメーカーに提出するよう促すことが理想なのですが、建材は多種ありますので全てを網羅することは困難といえるのです。
このような場合は、製品安全データシート(MSDS)を参考に、含有量が少ない、もしくは含有していない建材を選定するようにします。
建材の種類と特徴
建材とは、建築材料の略で戸建て住宅やマンションを建てるときに使用される材料のことです。
柱や壁などの材料を指し、住宅に附帯的に付けられるもの(太陽電池、換気扇、照明器具など)は、設備として扱われることが一般的です。
建材の種類は数多く、素材、メーカー、色合いなど含めると数え切れないほどの製品が販売されています。
また、建材は日々進化しており、防湿や防カビ、遮熱など新しい機能が付与された製品が増え続けています。
建材には、骨材や混和剤、コンクリート製品、ガラス、鋼材、合板など木材、左官材料、目地材、接着剤などがあり、構造材、仕上げ材など機能による分類と高分子系建材など材料での分類などで呼ばれています。
建材の特徴ですが、建材は使われる場所、用途、目的に適した特徴を有しています。
例えば、内装壁、間仕切り壁などに使われている石膏ボードは、安価で遮音、防火、耐火に優れている一方で、水につかるような場所では、石膏が溶けてしまうため外壁材などではなく、内装材として多く使用されています。
このように、特徴と欠点を理解し適材適所で建材を選択することが必要です。
建材を選ぶときの確認事項は?
環境への配慮は、MSDSなどで確認を行うことが第一となりますが、内装に使われる建材は、住宅の高気密高断熱化により、内装建材から揮発性有機化合物が原因の「シックハウス症候群」と呼ばれる健康被害が問題となりました。
現在では、ホルムアルデヒドの放散が一定基準以下の「F☆☆☆☆」、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの4物質の放散が一定基準以下の自主基準「4VOC基準適合」、さらにメーカーが独自に表示しているもの、同等の性能を有する証明書などにより確認することができます。
しかし、F☆☆☆☆の表示がなされているからといって、全てが安心できるというものではありません。
表示の前についている「F」は、ホルムアルデヒドの頭文字のFで、ホルムアルデヒドの放散区分となっていますので、いくらF☆☆☆☆だといって採用しても、トルエン・キシレン等の物質を抑制するものではありませんから注意が必要となります。
建材の品質は、日本工業規格(JIS)、日本農林規格(JAS)で試験方法、要求水準が定められており、認証されている建材には既定の表示がなされています。
また、同等の性能を有している証明書を確認することで、規格に基づいた品質を確保することができます。
仕様書などに規定されていない建材の場合は
建材の仕様書などは、すべて建材(構成成分含む)が記載されているというわけではないのです。
有識者が集まり建材の試験データ、普及状態などを審議し記載されるかが決まるのです。
また、改定時期がそれぞれの規格、仕様で決められておりますので、新建材などは記載までに時間がかかることがあります。
ただし、未記載でも使用できないというわけではなく、使用にあたっては設計図書に基づいた品質証明資料などを提出し、監督者の判断や特記仕様書などにより使用することができる場合があります。
まとめ
健康的に住まうためには、建材選びが重要となってきます。
そのため選定した建材が正しく納品されたかを確認することは必須なのです。
選定した建材には、ホルムアルデヒドの放散等級である、F☆☆☆☆の表示や、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの「4VOC適合基準」などの表示がなされているかも確認する必要があります。
厚生労働省指針物質以外の化学物質が放散する建材を適切に選定し施行しても、環境条件によって新たな物質を反応生成する、あるいは建材自身の臭いがするなど、様々な要因が居住者に悪影響を及ぼす場合がありますので、施工前に建築士や工務店の設計担当者と、施工業者の施工担当者を交えて打ち合わせを行うことが重要となります。